『名探偵の証明』
【ネタバラシはありません。】
『名探偵の証明』
著者:市川哲也
出版社:東京創元社
発行年:2013年10月15日
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第23回鮎川哲也賞受賞作。探偵小説というより名探偵小説と呼んだ方が良いほど、名探偵という存在について考えさせられる一冊です。ミステリにおける名探偵の立ち位置について強く意識するようになったのは、東野圭吾さんの『名探偵の掟』(ドラマ面白かったなあ。)『名探偵の呪縛』を学生時代に読んでからだったように思います。ただ純粋にミステリそのもの(魅力的な謎! 頭脳明晰な名探偵!)を楽しむのも良いのですが、どこか心の片隅で「この探偵(役)はどういう背景をもって行動しているのか」も気になってしまって、探偵をする理由がちゃんとないとモヤモヤする時期もありました。今は薄らいでいますが。それはそれとして、本書は発売してすぐ買って読んだ記憶があります。7年越しの再読です。名探偵を語り手にして、栄光・挫折・再生を描く趣向は、久しぶりに読んでもやはり面白い切り口だと思いました。