『タイトルはそこにある』

【ネタバラシしておりません】

『タイトルはそこにある』

著者:堀内公太郎

出版社:東京創元社

発行年:2018年5月31日

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 私が一番好きなレーベル〈ミステリ・フロンティア〉から、本書は出ております。なによりコンセプトが面白いです。それぞれにお題が与えられて、それらに基づいて著者が小説を書きあげるというシステムになっています。縛りがあるなかで、どのように物語をつくっていくのか、ワクワクしながら読み進めました。(あとがきは最後に読むこと!)

〇第一話「主役のいない誕生会」➡お題は〈演劇を扱った中編〉〈登場人物は四、五人程度の少人数に絞る〉。うーん、そういう企みだったのかと。やられました。

〇第二話「ニンジンなんてキュウリなんだよ」➡お題は〈回想、場面変更、一行アキ一切なしのワンシチュエーション・ミステリ〉〈登場人物は三人で〉。読み終えた後、タイトルの意味が分かり、少し笑いました。

〇第三話「おしゃべりな男たち」➡お題は〈会話文のみで書かれた作品(地の文はすべて削除)〉〈登場人物は二人で 〉。となると、もちろん会話劇になりますよね。男ふたりが会話だけで物語が進みます。

〇第四話「雪月花の女たち」➡お題は〈三人の女性たちによる独白リレー(できれば三人全員を主人公に)〉〈出番を終えた語り手はふたたび語ってはならない〉。このお題が一番縛りがきつそう、と勝手ながらに思いました。やられました。

〇第五話「タイトルはそこにある」➡お題は……。そうきました! お見事です。あのシリーズを久しぶりに読み返したくなってきました。

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