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『謎好き乙女と壊れた正義』

【 ネタバラシはありません 】

『謎好き乙女と壊れた正義』

著者:瀬川コウ
出版社:新潮社(新潮文庫nex)
発行年:2015年9月1日


(内容紹介)
 紫風祭。藤ヶ崎高校学園祭を早伊原樹里と回ることになった春一は、その道中で相次いで”謎”に遭遇する。開会式で用いる紙ふぶきの消失。模擬店と異なる宣伝看板を並べる実行委員。合わない収支と不正の告発。初夏の一大イベント真っただ中で起こる事件を追う中で、二人は学祭実行委員長・篠丸の暗躍を知る……。正義とは何か。犯人は誰か。切なくほろ苦い青春ミステリ、第2弾。


 再読です。前作『謎好き乙女と奪われた青春』の続きです。前作でとある事件(トラブル)を片づけた主人公たちですが、彼ら彼女らの学校生活は続きます。ということで、今回は「学園祭」を主軸にあれこれと進みます。意地が悪い書き方をしますが、「学園祭」はテッパンなので、どう物語が進行するのか……。
 前作の感想めいたものを書いたときに挙げた項目を再掲します。恥ずかしいですが、前回書いてしまったので今回もこの物差しで本書を見つめていきます。

【主な舞台が学園の青春ミステリに対して個人的に気になってしまう項目】
①犯人が事件(トラブル)を起こす理由
②探偵役が事件(トラブル)に関わる理由とその解決方法
③事件(トラブル)を起こした人物のその後の処理

 まず、②を検討します。これは主人公が生徒会に入っていて、会長から「探偵役」にならざるを得ないような指令を受けたため、もちろんクリアです。あるいは、前作同様今回も主人公が「探偵役」を避けようとする描写があるので、その二重構造が面白いなと思いました。次に、①もクリアしています。むしろ、その理由を知ったとき、なかなか考えさせられました。といいますか、これはまんまとやられました。これ以上書くとネタバレになるので自重しますが、著者の仕込みに気づけなくて私は悔しい。最後に③ですが、前作でトラブルを起こした人物の扱いがしっかりしていたので、これもクリアです。むしろ、3作目がどうなるのか気になってしまいました。

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