『ナウ・ローディング』
【 ネタバラシはありません 】
『ナウ・ローディング』
著者:詠坂雄二
出版社:光文社
発行年:2014年7月20日
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(内容紹介)
ゲームクリエイター。ライター。小説家。プレイヤー。何も変わっていない。そのことが地獄だった。
社会現象ともなった大ブームは去り、ビデオゲームの浸透と拡散は極まった。ゲーム情報誌の役割は終わり、一部の熱狂的なマニアは先鋭化していく。時代は変わる。年は取る。しかし、今日も明日も、見えるのは同じ景色だ。それでも。
果てなき倦怠と、かすかに見える変化の兆し。
執行猶予(モラトリアム)が明けた後の、静かな決意に満ちた傑作。
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無性に詠坂作品が読みたくなる瞬間があります。今月がそのときでした。できれば『リロ・グラ・シスタ』が読みたかったのですが、絶賛本棚整理中のためなかなか見つけることができず……。探っていて最初に見つけたのが本書でした。本書の『インサート・コイン(ズ)』の続編かと思いきや……という趣向が何たらかんたら(ネタバラシ回避)
〇「もう1ターンだけ」
専門学校の学生の課題をめぐるちょっとした謎。その違和感が辿り着く真意に突き当たる時、色々な感情がないまぜになりました。私も、もう1ターンだけやってみようと思わせてくれます。
〇「悟りの書をめくっても」
リアルタイムアタック、略してRTAの界隈で起こった騒動について。そういう世界があることをYouTubeの関連動画で見かけたことはあるのですが、まだ見たことがありませんでした。今度こそ見てみようと思います。それにしても、騒動の理由が判明したとき、何かしらの重たいものを感じました。
〇「本作の登場人物はすべて」
ポルノ。同人ゲーム。表現規制。ひぇえええ。
〇「すれちがう」
どうぶつの森。すれ違い通信。そして、なぜか帰宅していない少年。ここらへんで、物語が徐々に違う模様に変化していきます。
〇「ナウ・ローディング」
これが著者が一番書きたかったことかもしれない……と妄想しつつ、過去作を再度読み返したくなりました。やっぱり好きだなあと痛感。