『恩はあだで返せ』
【 ネタバラシはありません 】
『恩はあだで返せ』
著者:逢坂剛
出版社:集英社(集英社文庫)
発行年:2007年4月25日
出世なし。女もなけりゃ、金もなし。そんな御茶ノ水署・生活安全課の斉木係長と梢田刑事。頻発する珍事件を追って、今日もふたりは街を駆けまわる。トンデモ売春組織の謎、路上でハンコを押し売りする男の秘密、超高値の古本をめぐる詐欺の真相……。お調子者で失敗ばかりのダメコンビが、体当たりで事件を解決していく――。大人気ユーモア・ミステリシリーズ、待望の第三弾。
シリーズ第3作目。「木魚のつぶやき」「欠けた古茶碗」「気のイイ女」「恩はあだで返せ」「五本松の当惑」の5編が収録されています。今回も、斉木・梢田コンビは相変わらず平常運転で一安心。そして五本松も色々と隠密に暴れていて面白かったです。3作通して読んで気づいたのですが、このシリーズは梢田の視点で話が進んでいくからか、どうしても梢田の肩を持ってしまい、斉木がどうしてもいやな奴に思えてきます。が、二人の過去を踏まえると、梢田もかなりのことを斉木にしたようですし……。困りました。
お気に入りは、表題作である「恩はあだで返せ」です。各々の思いが交錯して面白かったです。「恩はあだで返せ」……秀逸なタイトルです。また、本書も神保町界隈の描写がたくさんあり、いわゆる聖地巡礼みたいなことをしたいなあと思いました。