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ナイフみたいに尖ってらぁ

これは何年も前の話だけども、思い出したので書いてみる。

これは、私が21歳頃の話…

その日、私は幼稚園生〜小学校低学年の子供たちと一緒に遊んでいた。犯罪ではない。
教会では、礼拝が終わったあと、その場にいる子供たちで遊んでから帰宅するのが定例である。私はその子達が怪我をしないように見張りながら、遊ぶという任務を仰せつかっていた。

小さい子達はかわいい。追いかけっこをしながら、学校であった事を話して、プリキュアがどうのとか子供らしい話をしていたかと思うと、「悪魔ってほんとにいると思う?」と遊びの場に突然宗教的概念をぶっこんでくる。

すると、側にいた40代くらいの女性が「いると思うよ。悪魔は魅力的な見た目なんだよ。ジョニーデップみたいだと思うよ」と自身の欲丸出しの回答をしていた。

無邪気な子供たちは、恋のお年頃らしく、誰が好きだとか学校にカッコイイ子がいるだとか話していた。私が微笑ましくその様子を眺めていると、4,5人の女の子グループがかけよってきた。

「ねぇ!お姉ちゃんは彼氏いるの?」

かわいい。

「お姉ちゃんはね、いないよ〜。」

残念ながら、21歳にして、彼氏いない歴=年齢であった私は、子どもたちの澄みきった素直な瞳にみつめられ、本当の事を言ってしまった。

「そうなんだ〜」程度で返されるかと思った私は、何も考えずに純粋無垢な子どもたちを見つめ返した。


「へぇ!



かわいそう!!!」



え?
え?かわいそう???
え?なんて????

7,8歳の小学校女子たちの純粋無垢な言葉が私の身体を貫く。
さながら、夜道を歩いていたら、通り魔に襲われたような衝撃。刀を構える隙もなく切り刻まれてしまった…

あまりの衝撃に返す言葉が見つからず、私は口をパクパクとさせながら固まっていた。

そうか…今の小学生からすると、20歳を過ぎても交際相手がいない人間は哀れみの対象なのか…。
それにしても、"かわいそう"って、小学生からでる言葉ではなくない???

そんな抜け殻となった私をよそに、通り魔4人組は続ける。

「〇〇君(お世話係の30代男性)は30歳なのに結婚してないんだよ〜」
「え〜もう30歳なのに〜」

と、キャッキャしている。

ちょ、誰!?この子達に20歳になったら、誰かと付き合って30歳までに結婚するべきって教えたやつ!!今すぐ出てこい。

子供は、純粋無垢故に周りの大人達の会話を素直に"知識"として取り込んでしまう。そして、それを堂々と外界に発信するわけだ。
きっと彼女たちの周りには、そんなことを言っている大人がいるね。図らずも、他人の家の会話を盗み聞きしたような気持ちになってしまった。
被害を受けたのは私だけど。

今の時代、結婚が人生ではないのだよ…女児たち…。

きっと彼女たちも20年後には、大学を卒業し働き始めたら想像以上に出会いがなくて、あー学生のうちに誰かと付き合っておけばよかったと後悔し、周りの素敵だなと思う人は大体パートナーがいるか、結婚してるかで、いざ始めたマッチングアプリでは、距離感バグってる人やデートで全然会話してくれない人、1円単位で割り勘にしてくる人達に辟易し、居酒屋で友達と飲みながら「あー結婚してー」って愚痴ってるんだろうね。きっと、付き合ってる人がいない=かわいそう、という考えがボディブローのように自分たちに効いてくる時がくんだろうね。

彼女たちの未来に幸あれ。

聖菜

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