二人声劇『支配する愛』
支配する愛
たくや
さなみ
さなみ(N)支配…ある者が自分の意思・命令で相手の行為やあり方を束縛する事。
たくや(N)俺はこの怖さを知っている…いや、知った、と言う方が正しいのか。
さなみ…俺の人生を狂わせた女性だ。
たくや(N)そして仕事の日
たくや「さなみ、大丈夫か?なんか辛そうだけど…具合悪い?」
さなみ「お腹が痛くて…」
たくや「マジか…仕事変わってあげるから早退出来るかリーダーに聞いてみるよ」
さなみ「ありがとう!」
たくや(N)始まりは同じ職場だった…自分と歳の近いさなみと話しているうちに意気投合して遊ぶようになった。
男女の関係になるのには、そう時間は掛からなかった。
たくや(N)そして数ヶ月後が経ったある日…
さなみ「あなたのネット友達はみんな恋愛感情がある」
たくや「……は?」
さなみ「だからあなたのネット友達全部切って!嫌なの!あなたの前に立つネット友達が!」
さなみ「ムカつくんだよ!あたしがいるのに、そいつらとLINEばかりしててよ!」
たくや「LINEばかり?さなみと居る時はLINEもしてないし、スマホだって手にしてないんだよ?」
さなみ「お前のやってる事は全部ウザい!偽善なんだよ!私を悪者にして!」
さなみ「お前とネット友達、これから一生苦しめてやる!逃がさないからな!」
たくや「わかった、今すぐにみんなとの関係を断つよ…だから、ごめんな。」
さなみ「ほんとに?ほんとに私で…良いの?」
たくや(N)この頃からだろう、俺の心が壊れ『支配』されて来たのは。
…数日後
たくや(N)俺がネット友達との関係を断っても彼女の気持ちは収まらなかった。
耐えきれず彼女をブロックした。
ドアを叩く音(机を叩く)
さなみ「たくや!!」
たくや「来た…」
さなみ「居るんでしょ?出て来いよ!何ブロックしてんだよ!」
たくや(N)その後俺の留守番電話には…
さなみ「ネット友達の元には戻ったの?ねぇ、ネットのキモイやつらとは仲直りしたの?」
たくや(N)吐き気が止まらなかった…胃の中を空にしても。空にしても…そして気付いたら朝になっていた。
たくや「…朝か……いつの間に寝てたのか…コンビニ行こうかな」
さなみ「たくや」
たくや(N)名前呼ばれた瞬間、背中に鈍い痛みが走った。
さなみ「たくやがいけないのよ。私の『支配』を拒絶するから…でもこれで私はたくやをずっと『支配』出来る、傍に居れる、ネット友達の声もない…ずっとずっと私のもの…そう、ずっとね」
たくや(N)そのまま俺の意識は遠のき二度と覚めることは無かった。
さなみ(N)私はたくやを『支配』した。捕まろうが死刑になろうが、たくやを私だけのものにした事に変わりない。死刑ならいいなぁ……あの世でもたくやを『支配』出来るから……
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