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2人声劇『堕ちる』
堕ちる
音家英雄
リディ・ウェン
英雄「僕は今幸せだよ…だって君が傍に居るんだから」
ウェン「私も幸せよ…この愛に堕ちた時から…」
英雄(N)あの人に出会ったのは半年前…お得意様の受付をしていたのがきっかけだ。
容姿・言動・身体…全てが俺のタイプだった。
ウェン「あの…英雄さん、今なんて?」
英雄「貴方が好きです、付き合って下さい!」
ウェン「…そのような事を言われても、ご希望に応えることは…」
ウェン(N)最初、私は彼になびかなかった…確かに顔もスタイルも、仕事も噂を聞く限りだと優秀な人だとも知っていた。
でも…何故か彼には人には言えない何かがある…そう感じていた。
英雄「どうすれば付き合ってくれますか!?
ボクに振り向いてくれますか?」
ウェン「それは…ごめんなさい。
私が英雄さんに振り向く事は……」
英雄(N)何度断られても俺は諦めなかった…周りの人に好みを聞いて回った。
食事・お酒・趣味・休日の過ごし方…
彼女と付き合うためには、なりふり構わなかった
ウェン「……分かりました。今週末、お食事だけなら…」
英雄(N)そう返事が貰えたのは口説き始めて4ヶ月経った頃だった。
ウェン「え?これを私に?」
英雄「はい、そろそろお誕生日だとお聞きしてましたので…何が良いか分からなかったのでボクの独断と偏見ですが」
ウェン「…ありがとうございます。あ、これ…私が欲しがってたディズニーの…」
ウェン(N)彼は私の事を本気で愛してくれてる…段々と彼の事を気にしている私がいた。
そして……
英雄「今度、ボクの家でご飯食べませんか?
ボーナスが入ったのでウェンさんが好きな物をご用意しておきます」
ウェン(N)酒の席で言われた事もあり判断が鈍っていた…と言えば言い訳なんだろう。
私は二つ返事で「はい」と答えてしまった。
英雄「いらっしゃい、夕飯の用意出来てますよ。」
ウェン「凄いメニュー…お店みたいですね」
英雄「大好きな人には美味しいものを食べて欲しいですから」
英雄(N)大好きな人…初めて見たあの日から半年。
俺はどんな日でもウェンを愛した。
俺のものにしたい…その気持ちは日に日に増していった
ウェン「ご馳走様でした、本当に美味しかった…ありがとう…ござ、い、ます……あれ?眠気が…」
英雄「やっとだ…(含み笑い)」
ウェン(N)目覚めた時、私は下着姿で鎖に繋がれていた。
何故か怖いとは思わなかった…
英雄「目が覚めた?ごめんね、そんな格好で繋いで。
ボクの…俺の気持ちに答えてよ…これからもウェンを大事にするよ。
ねぇ、楽しかったよね?どうすれば喜ぶか…楽しんでもらえるか…それだけを考えていたから。
俺はありのままの気持ちをずっと伝えていたんだから…」
ウェン(N)そう言うと彼は私に口付けをし、何かを飲ませた。
意識が酩酊していく…彼の言葉が甘い媚薬と化していく。
「はい、私を一生愛してください」
その言葉で私は堕ちた
英雄「やった…やったぞ……ははははは」
ウェン「どこまでも私は堕ちていく…そう、どこまでも…」