2人声劇『結ばれる世界』

結ばれる世界

来亜メグ
二堂道流

メグ｢風が気持ちいいね｣

道流｢うん｣

メグ｢じゃあ行こうか…｣

道流｢そうだね、また後で…｣

-半年前-

メグ｢はい、はい…その件に関しては上司の九太郎が…いえ、申し訳ありません……はい、大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした……はい、ではお伺い致します…｣

メグ(N)上手くいかない…資料も何度も読み返し、上司にもOKを貰ったのに、なんで…

道流｢すみませんでした…はい、習いました……いえ、やる気はあります…はい、舐めてるとか無いです…はい…分かりました……お先に失礼します｣

道流(N)なんでこんなに覚えが悪いんだろ…頑張ってるのに報われない…なんで…僕は…

メグ｢あの会社にお詫びに行くの…嫌だな……またセクハラされる…｣

道流｢また先輩に嫌味言われながら叱られるのかな…嫌だな………あっ！すみません！｣

メグ｢……あっ！こちらこそすみません！ボーッとしてて…｣

道流｢大丈夫ですか？顔色悪いですよ？｣

メグ｢え、えぇ…そう言うあなたも顔色悪いですけど、大丈夫ですか？｣

道流｢…はい、仕事が辛いだけですから｣

メグ(N)こんなやり取りがきっかけだった。
LINE交換して、最初は文面だけ…次第に話すようになり、4ヶ月経つ頃には会って食事したりするようになっていた。

道流｢いつも誘ってくれてありがとう…｣

メグ｢良いの、私が愚痴を言いたいだけだから…利用してる感じでごめんね…｣

道流｢そんな事ない！僕だってメグさんに愚痴とか弱音とか吐いてるので……｣

メグ｢生きるの…辛いね……｣

道流｢うん……｣

メグ｢私ね、道流の事好き…｣

道流｢うん……僕も、メグさんの事好きです｣

メグ｢でも…｣

道流｢幸せに出来ない…｣

メグ｢うん…嫌になるね…｣

道流｢メグさん…後3ヶ月頑張りませんか？｣

メグ｢え？｣

道流｢3ヶ月頑張ってもお互いに幸せになる兆しが無かったら、もう一度考えましょう…それまでは今みたいな関係で…｣

メグ｢わかったわ…お互い、3ヶ月頑張りましょう｣

メグ(N)3ヶ月…長いようで短い期間……お互いに頑張って幸せになれるように仕事を頑張ったけど、結果は変わらなかった…

道流(N)お互いにこの結果は分かっていたのかもしれない…だからこそ、待ち合わせは山中にある橋だった。

メグ｢ねえ、後悔してない？｣

道流｢全然！むしろ今は何故か清々しい気分だよ｣

メグ｢…そっか、実は私もなんだ｣

道流｢向こうでは何がしたい？｣

メグ｢ん～…何がしたいって言うのは無いかな…ただ普通に…道流と笑いながら過ごしたいな｣

道流｢うん…そうだね｣

メグ(N)最後のキス…優しい…最後のキス…お互い顔を見合わせ、手を繋ぎ、笑顔で空へと身を投げた

メグ｢2人幸せに｣

道流｢笑顔で逝こう｣