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2人声劇『守るべき人』
守るべき人
桃山 久美
車田 リキ
久美「私達、ずっと友達でいようね!」
リキ「俺たちはずっと親友だな!」
久美(N)この言葉に嘘はなかった
リキ(N)この言葉を貫きたかった
久美&リキ(N)でも…
久美(N)私を助けてくれたのはいつもリキだった…どんな時も、どんな状況でも、リキだけは私の味方をしてくれた。
リキ(N)久美を守る…久美とは幼なじみで、家も近かったせいか、常に一緒にいた
同じ小学校、おなじ中学、同じ高校を卒業…大学からはそれぞれの道を歩み出したのだが……
久美「あ、、もしもし?うん、久しぶり…リキは?…そう、良かった……うん、ちょっと…ね」
リキ(N)久美から久々の電話…その声は暗く、今にも泣きそうな感じがした。
俺はすぐに次の日に会う約束をした。
久美「あ…リキ…ごめんね」
リキ「いや、気にしないでくれ。
それより何があった?」
久美「こんな事、リキに話すのは間違いだと思うんだけど…私の彼氏が…ね」
リキ「彼氏か…どうした?浮気でもされたか?」
久美「ううん、違うの…」
リキ「何があったんだ?」
久美「DV…になるのかな……私が悪いんだと思うの…料理も上手に出来ないし……私が悪いから…」
リキ「そいつにどんな事されてるんだよ!」
久美「……料理が不味いって叩かれるの…」
久美(N)その言葉を皮切りに私は彼氏にされた事を話した。
リキは黙って聞いていてくれた。
リキ「状況は分かった…で、久美はどうしたい?別れたい?」
久美「分からない…叩かれたりした後は優しいから…」
リキ「どうしたいか、久美が決めるまでは俺は話を聞いてあげる事しか出来ない…もし気持ちが固まったら必ず連絡くれ」
久美「分かった…必ず連絡するね」
リキ(N)正直はらわたが煮えくり返る思いだった…俺の大切な人が傷だらけになるのが。
それでも動いたらダメだと思い拳を握り締め耐えていた。
『久美を守る』俺はどんな形でもそれを貫こうとしていた。
久美「リキ?……うん、私決めたよ…」
リキ(N)久美が出した答えは『離れたい』だった。
俺はすぐさま、久美と2人で彼氏の家へと向かった。
家の中を見た俺は唖然とした
リキ「これは……」
リキ(N)目の前には久美が流したと思われる血の跡、拭いたタオル、ティッシュが至る所に散乱していた
久美「たくや、私と別れて下さい」
久美(N)その言葉を発した途端彼は逆上し私に襲い掛かるが、リキに抑えられた。
動けないたくやは私を睨みつけていた。
リキ「二度と久美に近づくな!今日はプライベートだけど、俺は警察官だからな…次は無いぞ」
(少し間を開けて)
あれから数ヶ月後
久美「リキ!」
リキ「よっ!どうだ、身体の具合は?」
久美「うん!リキのおかげだよ!」
リキ「久美、何かあったら…迷わずに俺に連絡くれよ!俺はお前の味方だから!」
久美「リキは私の警察官だもんね」
リキ「ばぁか、次言ったら牢屋にぶち込むぞ」
久美「リキ…ありがとう!」
リキ「久美…いつまでもお前を守るよ」