2人声劇『望みの秘宝』
望みの秘宝
マイラ・マイネル
キュイ・テンベル
マイラ「秘宝シンギングヴォイス…どうか叶えて…あの人に会わせて」
キュイ(N)トレジャーハンター…まだ見ぬ宝を追い求めて旅をする者。
俺とマイラもトレジャーハンターだった。
マイラ(N)世界各地を巡る中、私たちは秘宝シンギングヴォイスの話を聞いた。
愛の願いをなんでも叶える宝。
キュイ「新しく発見した洞窟…深いな…マイラ、気をつけろよ?どんな罠があるか分からないからな」
マイラ「分かってるよ…キュイこそ気をつけなよ?あんたこの前、子供騙しみたいな罠に引っかかってるんだからさ」
キュイ「あ、あれは……そう、暗いのとホコリとカビと…」
マイラ「はいはい、そうだね…ったく」
マイラ(N)キュイとは幼なじみで子供の頃からずっと一緒に行動していた。
「トレジャーハンターになる」
そう言われた時も私は迷いなくついて行った
キュイ(N)トレジャーハンターになると決めた理由…子供の頃にマイラの妹は森に薬草取りに言った時にオオカミに襲われ、この世を去った。
悲しみに暮れるマイラをずっと見てきた俺は様々な文献を読み漁った…
『秘宝シンギングヴォイス』
死者を蘇生させる唯一の秘宝。
必ず見つける…マイラの為に。
マイラ「かなり深くまで来た気はするんだけど…1度戻って補給した方が良くないかい?」
キュイ「もう少し進んでも先があるようならポータルで記録して補給に戻ろう」
マイラ「あら、なかなか素直じゃない?
いつもは戻ろうとしないくせに」
キュイ「この洞窟には何かある気がするんだよ。とてつもなくデカい宝が…」
マイラ「その勘、当たったダメしないだろ…この前のも錆びて使い物にならないナイフだったじゃないか」
キュイ「あれは俺も落胆したなぁ……まあ、この洞窟は違……おい!光が見えるぞ!」
マイラ「まさか、本当にお宝があるなんて…キュイ、気をつけるんだよ!何かあるかもしれないんだから」
キュイ「こ、これは…文献にあった……シンギングヴォイス!」
マイラ「え!?それってキュイが探してた…」
キュイ「マイラ…この秘宝をお前に…これで妹さんを蘇らせてくれ」
キュイ(N)秘宝に手を掛けたその時、マイラの後ろから巨大な鎌が迫って来るのが見えた。
キュイ「マイラ!」
マイラ「…え?」
マイラ(N)気づいた時にはキュイの体には鎌が突き刺さっていた。
マイラ「キュイ!なんで!なんで私を…」
キュイ「俺の旅の目的だったからな…マイラ……この秘宝で…妹を…」
マイラ「あんたを失いたくない!」
キュイ「俺は…満足してる……誰にも見つけられなかった、秘宝……」
マイラ「ポータルで戻るよ!………なんでなのよ!?ポータルが作動しない!?」
キュイ「俺の事はいい…ポータルが使える場所まで戻って…街に戻れ……そして妹さんを」
マイラ「私は…私は……うわぁぁぁぁ!」
マイラ「これで蘇る…の?」
マイラ「あぁ……おかえりなさい」