アスリート育成日記(2)
子育てとサッカー、両方に関わる話をしよう。
前回、
「コーディネーション能力には
(1)リズム能力
(2)バランス能力
(3)変換能力
(4)反応能力
(5)連結能力
(6)定位能力
(7)識別能力
がある」
「コーディネーション能力(1)〜(7)を効率よく伸ばすには、それぞれ適した運動・競技がある」
「特に幼少期、何か特定の競技のみに注力・固執すると、(1)〜(7)の成長幅に歪みが生じるので、結局良くない」
のような話をした。
今回はその補足になる。”特に幼少期”、この一言がキーワードだ。
これはTwitter等でも度々口にしてきたことなのだが、いわゆる運動神経は、だいたい思春期前までに
「どれだけ多種多様な運動を経験し、コーディネーション能力を高めてきたか」
で決まってしまう。10歳〜12歳ぐらいまでの間に、その後どういう人生を歩むのか、見えない天秤にかけられている。運動神経の大本、と理解してもらえるとわかりやすいか。
注意点がある。察しの良い方はお気付きかもしれないが、上記(1)〜(7)の中には、私達が日頃、プロスポーツを見て話題にしているポイントがない。
筋力であったり、
持久力であったり、
柔軟性であったり…
がそれだ。
つまりこれらの能力は、コーディネーション能力とは別種のものになる。語弊や齟齬を承知で、それでもイメージを伝えようとするなら、
「成長期・成人後も伸ばしようがある能力」
と伝えるとわかりやすい。
正確には、例えば筋力は骨格で付けられる限界が変わる。無限に発達する訳ではなく、生育環境や個人差はやはり存在するのだ。
ただ、
「少なくとも幼少期〜少年期の過ごし方次第では頭打ちになる」
割合の低さであったり、伸び幅がむしろ思春期以降に大きくなるなどの特徴から、ここではこのように分けている訳だ。
閑話休題。
翻ってコーディネーション能力は、幼少期の薫陶により、その後の伸び幅に決定的な差が出るという特徴がある。
多くの運動時間を確保し、多くの失敗(転倒であったり、ボールの目測を誤った末の打撲であったり…)を経験し、多種多様な方法で感覚を伸ばすことで、これは成長する。
とりあえずこれを読んでくれている皆様にファンが多いであろう、サッカーを例に考えてみよう。
・平面かつ芝生有りのグラウンドで、
・規定の3号球や4号球を使い、
・統一ルール下、同年代でのみプレー
を続けた場合と、
・時に坂道、時に砂利道、時に「幅」に差がある道路でも、
・サッカーボールに限らず、バスケットボールやソフトボール、野球ボールまで何でも、
・体格差、体力差がある相手と、ルールを作りながらもバランスよく混在してプレー
では、どちらの方が即応性、即興性、柔軟性等が伸びそうだろうか。容易にイメージできるのではないかと思う。
確かに幼少期には、頭部が異様に大きい割に手足が短く、体の軸もブレがちといったハンディがある。故に幼児や少年少女は、プロアスリートが見せるような、絶対的に力強いプレーを実現することはできない。
一方で彼らは、絶対的な柔軟性を有する&そもそもの体重が軽い、という強みをもつ。これはつまり、「多少の失敗があっても、大きな怪我をしないで済む」ことに他ならない。それだけ、幼少~少年期の運動は、アスリートを目指すこと以前に、生涯的に重要性が高いものなのである。
だが、子供達の現状は……
と、執筆稼働限界時間が来たので、今回はここまで。
続きは時間と余力ができた時に。
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