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「メタバース」をデジタルマーケティング的思考で考えたら、旅行代理店が自社のVRゴーグルを開発して、疑似的に旅できる体験価値でどれくらいの売上を作れるか検討することになった話。

今回の記事では、このバズキーワードをフックに、私がデジタルマーケターとして普段の業務を行う際に行っていることをお見せしながら、デジタルマーケティング的思考についてお話します。トレンド最前線の「メタバース」をテーマに、主に就職活動を控えている学生の方やデジタルマーケティングの道に今後進みたいと思っている方にとって有益なものになればと思います。

簡単に弊社紹介

こんにちは、博報堂プロダクツ九州支社所属の生まれも育ちも鹿児島、デジタルマーケターの宮田です。まずは、簡単に弊社の紹介をさせてください。

博報堂プロダクツは、2005年に設立されました。12の事業本部と3つの支社、さらに10つのグループ会社からなる製販一体型の総合制作事業会社です。

その中でも私が所属している九州支社は、福岡と鹿児島に拠点があり、デザイナーやコピーライターに加え、ダイレクトプロデューサー、デジタルマーケターなど15の専門職が揃っています。九州支社では「成長の一手をこしらえる」というパーパスを掲げており、九州が通販企業が多いエリアであることから、弊社としてもデジタル領域を強みとしています。「デジタルを活用して、地方を元気に。そして、日本を元気に。」を合言葉に、ブランディングから制作、告知までを行うだけでなく、結果を検証して改良していく一連の流れをワンストップで担っており、日々業務に取り組んでいます。


博報堂プロダクツ的「デジタルマーケター」とは何者か

前述のように私の現在の職種が「デジタルマーケター」ですので、基本的には、デジタル広告全般の運用および制作、これらに関わる分析と改善アクションがメインにはなりますが、ここで簡単に普段どのような業務を行っているかを下記にまとめます。

デジタルマーケターとしての主な業務一覧
  • 得意先商材の理解および調査による仮説設計

  • デジタル広告のプランニングおよび運用シミュレーション算出

  • デジタル広告の掲載素材制作および誘導用LP制作

  • 運用結果の各種ツールを使った分析

  • 制作領域および運用領域の最適化、改善

  • 改善提案+施策提案などのプランニング

以上からも、弊社の制作会社としての特徴として、デジタル領域のあらゆる制作に対応しながら、デジタル広告の活用によって、企業の売上を高めるための方策を日々粒度細かく対応しております。
個人的には、デジタルマーケターで最も大事な能力としては、「理解・調査によるインプットからどんな仮説設計ができるか」と感じています。これによって、各施策の精度が変わってくると思っているからです。

より現業的な、「デジタルマーケティング的思考」

今回はおおまかに2つのアクションでお話します

それでは、ここで記事のタイトルに話を戻します。本当はもう少し具体的な話をしたいのですが、制約上なかなか難しい部分もありますので、今回は、多くの業務で出発点となる、「理解・調査によるインプットおよび仮説設計」をトレンドの「メタバース」というキーワードを使って、具体的にどのようなアクションを行うか、そこからどんな仮説設計がつくれるかを簡略化した形で話していきます。※注) 本当はもっと複雑ではあるのですが、今回はデジタルマーケティングをアクションとして分かりやすく伝えるために、以下の2つを行います。

  1. 該当キーワードで対象が知りたいことは何か?

  2. どんな競合企業が該当キーワードで広告を行っているか?


該当キーワードでユーザーが知りたいことは何か?

まずは、対象を知ろう

皆さんのお手持ちのスマホを使って、例えばGoogle検索をしてみてください。検索窓の中に「メタバース」を入れた際に、加えてGoogleが提案してくるものがある意味、「ユーザーが知りたいこと」です。私も検索してみた結果、おおまかに以下のカテゴリに分けられました

  • 意味/分かりやすく

  • ゲーム/仮想空間

  • ビジネス/投資(仮想通貨)

これから読み解けることとしては、
・メタバース自体の意味を正確に理解するのは難しい
・メタバースといえば「ゲーム」「仮想空間」というイメージ
・メタバース自体を「ビジネス」「投資」の対象として捉えている人が多い
といったことがすごいざっくりですが、掴めてきました。

どんな競合企業が該当キーワードで広告を行っているか?

どんな企業がどんな広告を出しているかで、キーワード理解が深まる

次のアクションです。先ほどの検索結果からヒットした検索履歴を見ていくと、一見分かりづらいのですが、URLの隣に「広告」マークがついているものがあるかと思います。これらは多くが実際に「メタバース」というキーワードに対して、企業が広告を出していることを指します。すでに広告を出して費用を消化しているという時点で、ある程度の売上が上がる可能性を見出して、投資していると考えられます。こちらも先ほどと同様に、広告を出稿しているのは、以下のカテゴリに分けられました。

  • VRイベント

  • 通信インフラ

  • 旅行代理店

  • VRゴーグル 

  • その他(投資/DX推進 等)

さぁ、実際に仮説を考えてみよう。

仮説の精度も大事だが、まずは切口が大事

ここまでくれば、あとは仮説を考える作業に入ります。この場合、競合企業が該当キーワードに広告を出しているのは、どんな売上ポテンシャルを狙っているのか、どんなところに可能性を感じているかを考えてみます。ざっくりいうと、「ユーザーが知りたいこと」がある中で、「どんな競合企業が広告を行っているか」を考えることで、該当キーワードにどんな売上を上げるための切口があるかを探すことができます。
例えば、以下です。

VRイベント:コロナ禍の中でオンラインイベントの需要拡大。その中で例えば今まではリアルで触れていた音楽イベントをVR上で実施して、バーチャル上で楽しめるものにシフト。

通信インフラ:今後「メタバース」が盛り上がっていくにつれて、大容量のデータをリアルタイムに、安定的に供給するために果たす役割が高まり、新しい規格のデータ通信プランなどが必要になってくる可能性。

旅行代理店:コロナ禍でなかなかリアルで旅行ができなくなることへの置き換え需要だけでなく、普通なら体験できない、例えば崖から飛び降りたり、鳥の視点で景色を楽しむなどバーチャルでしかできない体験価値へシフト。

VRゴーグル:まずはツールとしての機能的訴求から、今後ツールが一般化していった後にそれ以外の情緒的、ブランド的、デザイン的な差別化など新しい価値で商品を選ぶ基準へシフト。

今後メタバースが発展していくときに起こるであろう可能性

今後上記のようなものが未来に起こっていく際の、潜在的売上可能性を考えていくと、今の時点でもすでに、旅行代理店やVRゴーグルなどは他の仮説に比べると売上への可能性がまだ高いのではないかと仮説から考えました。そのため、例えば、旅行代理店が新しい旅行プランとして、「メタバース」を活用していく際に、本当はこういう見せ方ができるものなら良いのにという課題が見えてくるのではないか、それを見据えると実は旅行代理店が自社の旅行体験に適したVRゴーグルを自社で開発を行うのような、おもしろい可能性があるのではと、勝手に仮説が広がりました。
これらを踏まえると、「旅行代理店×メタバース」で考えると、「リアルでは体験できないものをバーチャルで体験できる」ことが、リアルの代替体験という訴求軸よりも、ユーザーに引きがあるのではないか、例えばそれをより表現していく先に、「旅行代理店が自社のVRゴーグルを開発」といったフ
ァクトがあれば、強いのではないかと(まだ勝手な)仮説が出てきました。

施策を考えるうえでも外せないインプット

実際はこのように新しい商品やものを考えて提案したりすることは稀で、あくまで今回の記事用に大袈裟に書いてしまいましたが、普段の業務としても、既存商品を「どんなユーザー」が求めていて、「何を訴求軸」として「どう表現していき」、「何がきっかけで買わせるか」を考える中で、その場合も思考としては、まずは該当キーワードや競合他社の動きを知ることで、これらの施策を考えていくための外せないインプットとなります。

最後に

今回は、具体的な内容というよりは、施策を考える前のインプットにとどまってしまったため、では実際にどのような形でユーザーに商品/サービスを購入してもらうのかといった話ができなかったので、こちらはまたの機会に。この記事を通じて、デジタルマーケティングおよび弊社に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。