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いまトーハクで、蔦屋重三郎×東洲斎写楽が展示されています
まだ『どうする家康』がNHK大河ドラマで始まったばかりですが、早くも2025年の大河の主人公が蔦屋重三郎さんだと発表されました。NHKの大河といえば、平安後期の源平合戦の時代や戦国時代または江戸の幕末……いずれにしても武将や武士をテーマにすることが多いです。そんな中で、今回は純粋な町人が主役です。どんな風に描かれるんだろうか? って、ワクワクせずにはいられません。
知っていそうで、実は知っているのはTSUTAYAこと蔦屋書店だったりしますが、このTSUTAYAの名前の由来となったのが蔦屋重三郎さん。子孫だからなどではなく、蔦屋重三郎さんにあやかって、「蔦屋書店」という名前にしたそうです。ただ、TSUTAYAさんは、単に書店を開いただけではなく、ずーっと自社を「メディア」にするっていうことにもこだわっている企業でもありますよね。最近では、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)として、徳間書店などの中堅出版社を吸収しています。
ということで、蔦屋重三郎さん。
東京国立博物館へ行ってみたら、その蔦屋重三郎さんと密接な関係にある、出自などが謎のベールに包まれている東洲斎写楽の作品がいくつか展示されていました。来年の大河ドラマでも、その謎が明かされるだろう彼の作品をじっくりと観てきました。
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トーハクの解説パネルによれば、「写楽は、寛政6年 (1794) 5月から翌年1月までのわずか10ヵ月間 (閏月を含む) に140点を超える作品を残して忽然と姿を消し」とされています。さらに「全作品が版元・蔦屋重三郎からの出版。師弟関係などのない謎の絵師とされています。」とのこと。写楽とは何者なのか? 江戸時代の当時から現代まで、様々に描かれていますよね。
そして上の作品については……「当時休座していた森田座の座元でもあった八代目森田勘弥の大首絵。 「敵討乗合話(かたきうちのりやいばなし)」一幕に登場する鶯の治郎作が「戻駕(もどりかご)」 と呼ばれる舞踊を軽やかな動きで演じている。独特な目の表現など写楽の特徴の見られる第一期の作品」と記されています。わざわざ「第一期」と記されているということは、10カ月という短い活動期間で、何度か作品のテイストが変わっていったということなのでしょう。
ということで、少しググってみると、トーハクでは2011年4月から5月まで、『役者は揃った。写楽』とう特別展を開催していることが分かりました。同展のパンフレットを確認すると、1〜4期に分けて、写楽と確認されている約140図の約170枚を展示していたようです。う〜ん……もう叶わぬ夢だとは思いますが、全作品を一気に観てみたかったなと思ってしまいます。
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寛政6年5月に江戸の都座で上演された「花菖蒲文禄曽我」 に取材した作品だといいます。「取材」とありますが、勝手な想像だと中村座とのタイアップのような気がします。
解説によれば、右側が大岸蔵人の妻(二代目瀬川富三郎)で、左が大岸家の腰者(腰元?・中村万世)。「細面でしまった顔立ちの富三郎とぽっちゃりした万世が対比的に描かれて」いるそうです。
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ちなみに、蔦屋重三郎さんの「蔦屋」で出版された作品には、蔦の葉に山のマークの判子が押してあります。山というのは、おそらく富士山でしょうね。↓
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↑ なんだか背景がキラキラしていたので、これが雲母摺(うんもずり)というものでしょうかね。こちらは第二期の作品。
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解説パネルによれば、写楽が役者以外を描くのは珍しかったようです。こちらは第二期の作品で、背景は「黄つぶし」と言われています。
お相撲さんかな? というのは分かりますが、この子……そう、なんと8歳の子供なんです。名前は大童山文五郎くん。大相撲の発祥と言えば、両国の回向院ですが、出羽(でわ・山形県)出身の文五郎くんは、7歳の時に、回向院の勧進相撲に土俵入りして、話題となったそうです。写楽は文五郎くんの作品を他にも描いていて、そちらには描かれた8歳当時の身長が120.9cmで、体重は約81kg、腹回りは118cmだったと記されています。
ということで、トーハクに現在展示されている、写楽の作品を紹介してきました。
写楽とは誰なのか? についてですが、前述の特別展のパンフレットには、次のように記されています。
近年は、阿波藩の能楽師斎藤十郎兵衛を写楽とすることで、写楽の正体探しは、ほぼ落ち着きをみせています。本来、写楽 が注目されるのは、その正体探しのミステリーではなかったはずです。作品そのものを見てください。その個性的な表現は、作品が描かれた当時も、そして現代のわれわれにとっても多くの刺激を与える力を持っています。
とは言いますけど……やっぱり、誰なのか? は、気になるじゃないですかw 来年の大河では誰にするのでしょうか……というのと、その謎をサラッと明かしてしまうのか、大きなテーマとして最後まで誰かを明かさずに展開させるのか……その脚本も気になりますね。
■浮世絵師・鈴木春信の作品にハッとしました
さて、トーハクの浮世絵エリアを見て回っていたら、前項の東洲斎写楽をはじめ、葛飾北斎や歌川広重、喜多川歌麿などの作品も、いつものとおりサラッと展示されていました。
そして、わたしが勝手に決めた今回のMVPは、それらスター選手と比べると、ちょっと知名度が落ちる、鈴木春信の作品《今様おどり八景・石橋の晴嵐》です。
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鈴木春信さんは、江戸時代の1725年?〜1770年7月7日に生きた方です。喜多川歌麿が1753年〜1806年10月31日、葛飾北斎が1760年10月31日?〜1849年5月10日、歌川広重が1797年〜1858年10月12日ですから、鈴木春信さんは、彼らの大先輩ということになります。
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なんとなく鈴木春信さんの作品は、くすんだ色合いのものが多いと思っていたのですが、この浅葱色(?)の鮮やかなこと……。顔の表情は、鈴木春信さんっぽいシンプルな描き方ですが、装束やその周りを演出している大きな花など、すごく豪華絢爛でファビュラスですね。
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