コーディネーター・アラジンのブログ #27 緊急事態宣言は今も
The declaration of a nuclear emergency is still in effect.
原子力緊急事態宣言
新型コロナでは、緊急事態宣言が4回発出され、4回目が解除されたのが2021年9月30日。その後は出されることなく、明日2023年3月13日からはマスクの着用も個人の選択によるものとなりましたね。そして5月8日からは、感染症5類への移行となります。
ところが、3.11の東日本大震災の津波で福島第一原発の事故が起き、発出された、原子力緊急事態宣言は、12年経った今も解除されることなく、また解除の見通しも全くありません。
先日、寮生のSさんとテレビを見ていたら震災12年の報道があり、彼女にこの地震を覚えているかと聞いたところ、5歳だったけど揺れたのも覚えているし、なんか大変なことが起きたているんだなあということを、子どもなりに周りの大人の様子から感じていたと話してくれました。
確かに、あの時は、みんなこの先がどうなるのか分からず、コロナの初期の不安同様、何かすっかり変わった未来が来るという予感でいっぱいでした。
しかし、コロナにすっかり慣れっこになってしまったように、原発事故の方もすっかり過去のことのように、再稼働や小型原発の開発に進んでいますね。あの事故で、最も「高価」な発電で、「汚くて」、「危険である」ことが誰の目にも明らかになったにもかかわらず、今また、「安価で」「クリーンで」「安全だ」と言わんばかりです。
「カーボンニュートラル」という運動に押され、原発推進への回帰が着実に進んでいます。
元京都大学原子炉実験所助教授の小出裕章氏は言います。
炉心に存在していたセシウムの僅か0.4%が降っただけで、東北地方・関東地方の広大な地域が「放射線管理区域」の基準を超えて汚染された。「放射線管理区域」とは一般の人の立ち入りを禁じなければならない放射能汚染地域である。しかし、あまりにも広大な地域が汚染されたため、国は「原子力緊急事態宣言」を発令し一般の人々を「放射線管理区域」に棄てた。多くに人々はすでに忘れてしまっているが、その「原子力緊急事態宣言」は今も解除できないまま続いている。そして100年たっても解除できない。
昨日、福島県で開かれた震災追悼式の中で福島県の内堀知事は「『被災の地』『原発事故の地』と定義づけられた福島を誰もが夢を持てる『希望の地ふくしま』、誰もが誇りを持ち笑顔で満ちあふれた『復興の地ふくしま』へと変えていく」と決意を述べておられました。
希望の地ふくしまは、忘れることから始まるのではなく、教訓を学ぶことから始まるのだと私は思います。