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コーディネーター・アラジンのブログ #81 夏の花

flowers in summer

今見られる夏の花
寮も閉寮期間に入り、学校も役場も閉庁でひっそりしていますが、さすが観光地、村営の駐車場の混雑状況を示す掲示板は×と△。しろうま岳の登山口の猿倉の駐車場も×です。農協のスーパーのハピアもビックも駐車場も一杯ならレジも一杯のひとだかり。別荘地が多くあるからか、たくさんの食料品を買い込んだ家族連れや若者グループが目につきます。

さて、観光客のみなさんはそれぞれの白馬を楽しんでおられますが、中でも山や川のアウトドアスポーツにスポットが当たることが多いですね。しかし、身近に豊かな自然があるということも、白馬も魅力だということは、再三お伝えしていましたね。

そこで今日は、夏に見られる花、それも、八方尾根や五竜や栂池で見られる高山植物ではなくて、みじかな足元でその気になれば見られる花を紹介します。
灯台下暗し。こんなの見たことないという人も多いのではないですか? 案外、白馬村民の方も知らないかも。

高校生にも興味をもって知って欲しいところです。まあ、自分も高校時代はアマチュア無線に夢中で、植物にはとんと無関心でしたが、、、、

いろんな植物を毎日駆けずり回って観察されているⅠ先生にいろいろ教えていただいています。「植物は動かないけど、花を咲かしたり、実をつけたりとほんとはすごく動いているんですよ」とおっしゃっていることが最近私も分かるようになってきた気がします。

アラジンがジャスミンを魔法の絨毯にのせて飛行するシーンで流れる曲「a whole new world」の歌詞で、アラジンがジャスミンに見せたかった新しい世界とは、いままでなかった別の世界ではなく、いままでもあったけど、気づいていなかった世界、気づくことで見えてくる新しい世界なのです。
高校生のみなさんも、大人のみなさんも、これまでとは違った見方・考え方で新しい世界を見つけませんか?
きっと、あなたの足元にも新しい世界があなたとの出会いを待っています。

白馬でも非常に珍しい花 ★★★
    やや珍しい花  ★★
白馬ではよく見かける花 ★


ツチアケビ ★★★

いきなりですが、ぎょっとするこの植物は、「ツチアケビ」。
ランの仲間ですが、葉緑素をもたず菌類からすべての養分をいただくという腐生植物です。ソーセージのような実の中に種があるそうです。かわいい花をつけていました。

ちょっと、グロテスクな「ツチアケビ」2023-08-08
ツチアケビの花

ナツエビネ ★★★

これは、綺麗ですね。これもラン科の「ナツエビネ」です。長野県では絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に分類されています。なかなかお目にかかれません。

「ナツエビネ」2023-08-08


サワギキョウ ★★

これは「サワギキョウ」。美しい花ですが、毒草だそうです。

「サワギキョウ」2023-08-08

キンミズヒキ と ヒメキンミズヒキ ★

花の付き方や大きさが違います。

「キンミズヒキ」2023-08-12
「ヒメキンミズヒキ」2023-08-12

ジャコウソウ ★★

同じシソ科のイブキジャコウソウほどの芳香は感じなかったです。

「ジャコウソウ」2023-08-08

オオシラヒゲソウ ★★★

花弁が糸状に裂け、白い髭のように見えますね。
戸隠でも白馬でもこの花が咲いているのはオニヤンマが飛んでいそうな場所ですね。

「オオシラヒゲソウ」2023-08-12

オタカラコウ ★★★

フキのような大きな葉っぱに、見ごたえのある花を咲かせます。キク科。
雄宝香と書く。メタカラコウ(雌宝香)という小ぶりの花もあるそうです。

「オタカラコウ」2023-08-12

フシグロセンノウ ★★

「フシグロセンノウ」2023-08-12
花の中に花があるみたいに見えますね。

カワラナデシコ ★★

秋の七草のナデシコはこの花をさすそうです。
草原性の植物で、自然に遷移して、日光が不足する環境になると滅んでしまいますので、里山や河原で人が草刈や枝打ちを長年行うような、里山的利用がなされている地域でないと保全されません。外来種の影響や人々の作業放棄でどんどん減っているのは悲しいことですね。

2023-07-23

シナノナデシコ ★★

NHKの朝ドラでは、田邊教授と牧野萬太郎の二人のなかなか交わらない関係が描かれていますが、実在した矢田部教授と富太郎の関係も、この花の名前にあらわれているようです。白馬五竜高山植物園のFBによると、初めに矢田部教授がこの花をアメリカナデシコの変種だとして和名を「シナノナデシコ」としたのですが、その後牧野富太郎の研究でこの花が独立種だと分かり、和名を「ミヤマナデシコ」としたそうです。ただ、一般には和名は矢田部教授の「シナノナデシコ」が浸透しているようです。

「シナノナデシコ」=「ミヤマナデシコ」2023-08-11

オミナエシ ★

秋の七草のひとつ。まだ真夏なんですが咲いています。これは村のあちこちでみられますね。漢字では女郎花。

「オミナエシ」2023-08-11


まだまだ、紹介したい花がいっぱいあります。ナツスイセンもあちこちでみかけるようになりました。ヒガンバナが少ない白馬では、私はナツスイセンが白馬のヒガンバナだと思っています。

その植物が花をつける期間は様々ですが、園芸種ではなく、野山に咲く花は比較的寿命が短く、それを見逃すと1年待たなければなりません。

どこに咲くか、いつ咲くか、花とのこの空間的・時間的出会いが、なんだか人生における人との出会いと似てませんか?