コーディネーター・アラジンのブログ #103 「自分の人生は自分のもの」
Your life is yours
このタイトルは、先日1年生のLHRの時間を使って、講演頂いたマウンテンアスリートの上正原真人(かみしょうはら・まさと)さんの講演テーマです。
以前から、「地域の方を招いて、生徒に知ってもらいたいこと、感じてもらいたいことを語っていただく場を作りたい」と話されていた、現PTA会長のSさんが企画された、「白馬だから出会える ━━ あんな人こんな人」の第一弾です。
今回招かれたのは、白馬インターナショナルスクールの先生で、26歳のスカイランナーです。
みなさんはスカイランニングをご存知ですか? 私は初めて知りました。
トレイルランニング(トレラン)が山道をどちらかというと水平に縦走するというイメージが強いですが、スカイランニングというと、山頂まで駆け上がり駆け下る競技です。
はじめに、Sさんが講師の紹介を兼ねて、今日の講演会を企画した思いを話されました。白馬高校の生徒と一緒に今回は白馬インターナショナルスクールの生徒28人も参加していることもあって、PTA会長のSさんは、入学式に次いで2度目の英語による挨拶をされました!(凄い!)
スカイランナーの紹介として、先に松本大さんの2018年の「白馬岳最速記録」動画を見せてもらいました。
JR白馬駅前を出発して山麓線を走り、猿倉から登山道を白馬尻まで駆け上がり、大雪渓をポールを持ってどんどん登り、白馬岳山頂のわずか2時間36分で制覇。下りは滑るような飛ぶような勢いで同じ道を駆け下ります。
スカイランナーとまでは行かなくても、一般登山者でも、駅から直接山にアクセス出来るというのは白馬の他にありません。大抵の山は、登山口まではバスなどに乗り換えアクセスしなければならない所がほとんどですからね。
JR駅から山頂にタッチして駅までもどるコースの「白馬岳最速登山記録(FKT=Fastest Known Time)」を競うというのは、典型的なスカイランニングと言えますね。
この松本大さんの白馬岳の最速登山記録は当分破られることはないだろうと多くの人が思っていましたが、それを更新した人として、ゲストの上正原真人さんの白馬岳FKT動画が紹介されました。
猿倉まで47分、白馬岳山頂まで2時間25分、このタイムは松本大さんより2分遅れですが、下りを飛ばして、駅到着は、3時間32分12秒。
4分縮めた新記録です!
高校生たちが、オー!凄い人だと、興味が湧いたところで、ご本人が登場。
はじめに、「自分の人生は自分のもの、あなたの人生はあなたのもの」というテーマで話したいと、若い彼は、優しい言葉でみんなに語りかけます。
初めにトレイルランニングとスカイランニングの違いに触れ、どこどこのトレランで走って来たと言っても、どの程度のものなのか、一般の人が聞いてもピンと来ないけど、どこそこの山に駆け上がって何時間で降りてきたというと凄ーいと分かってもらえるのがスカイランニングの良い所だと話されました。
世界のスカイランニングの大会としてマッターホルンを登る大会も紹介してくださいました。白馬FKTのように一人で記録に挑むのではなくて、大勢で走る大会です。この映像にも感動しました。
「白馬岳のFKTに挑戦したとき驚いたのは、応援してくれる人が一杯集まって来てくれたこと。沿道で大声で声援を送った下さる人もいた。
一方で大きなことに挑戦すると、そんな軽装で危ないとか、真似をする人がいたらどうするとか、必ず反対する人がいるけど、2割の法則というのがあって、どんなことをするにも2割の反対者はいるということ。反対意見を聞くことは大切だけど、新しい挑戦に2割の反対は必ずあるということを知っておくと、驚かずにすむ。」
続いて、「みなさんがこれから進学したり就職したり自分の人生を考えるにあたって参考になれば」と、これまでの自分史を紹介。
アメリカ生まれ、群馬県育ち。
小学2年からサッカーを始め、プロサッカー選手を夢見て、クラブチームで頑張るも、中学校でクラブチームを辞め、部員4人の部活でサッカーを続ける。このとき、勇気づけられたのが長友佑都(ながともゆうと)選手の言葉。
「Don’t blame the environment. Everything is up to you to change.]
(環境のせいにするな。全ては自分次第で変えられる)
そして努力の甲斐あって、スポーツ推薦でサッカー強豪高校に入学するも、高いレベルの生徒が一杯いる中で「上には上がいる」を味わい、挫折を経験する。大学ではサッカーはしないと決め、受験勉強に励み大学に合格。最初は楽しいキャンパスライフだったが、何か本気でやることを探して、マラソンにトライしようと走っていた。そのときトレランの大会を知り、参加すると優勝したり上位の成績がとれたのでのめり込む。大学4年生になって、就職を考えなければならない時期に、スカイランニング日本選手権で優勝。それをきっかけとして、大学卒業と同時にプロに転向しようと決意。
バイトしながら大会に出るという日々だったが、コロナのため、世界大会も中止になり、バイトも思うようにできないといった時期に白馬に来た。
何度か訪れたことのあるあこがれの白馬に移住。この環境をフルに使っていこうと考えた。現在、白馬インターナショナルスクールで教師を務めるかたわら世界舞台を目指す。
生徒のみんなにも、「自分の環境を大事にして、好きなことを見つけたら、それがやれる環境の所へ移ればいいんだ」と話すカミショーさんは、予定していた話とずいぶんずれてしまったと笑いながら、今度は会場のみんなに質問を求められました。
「途中でお腹が痛くなったらどうしますか?」の質問に、
白馬高校の来年の強歩大会に向けてアドバイスはありますか?
足が痛くならない方法とかは?
などなど、楽しい元気の出る、何かに挑戦したくなるお話でした。
司会進行のSさんは、
「ヨーロッパのスカイランニングのビデオも見せてもらったけれど、ヨーロッパ並みの山並みがすぐそこにあることに気づいて欲しい。」
「一生懸命やる人には、応援してくれる人がいるということを知って欲しい。」
と生徒たちに投げかけられました。
いかがですか?「白馬だから出会える ━━ あんな人こんな人」の企画第一弾は生徒の反応もよく、その後、生徒の間でも話題になっていました。
1年生だけでなく全校生徒に聞かせてあげたかったですね。
白馬村には、個性的で、元気な人が沢山住んでおられます。次回のあんな人こんな人企画が楽しみです。