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禍話リライト:コンビニ暴力おじさん

コンビニの外とかで地べたに座って、買った物とか置いて酒盛りするのはよくないという話。

N県のとあるコンビニの話である。
広い駐車場を持つそのコンビニに一時期、男性3人がたむろし始めた。夜間、店員が1人しかいない時間にたむろしていて、大騒ぎするわけでもないので見逃していた。
しかし、夜の業務でゴミ回収のために外に出ると地べたに座って酒盛りをしてる光景が頻繁に見られるようになり、さすがにゴミを散らかし始めたら注意しようかな…と店長は考えていたが働いている女性から「店長、女性しかいない時間に駐車場で酒盛りしてる男性たちは怖い」などと話は出ていた。
しかし、ゴミを散らかすわけではないしなぁ…と店長は注意しあぐねていた。

しかし、ある日から来なくなったのである。

とある日、店長が1人勤務だった日のこと。
その日も男性3人は駐車場で酒盛りを始めた。
その日はお客さんが誰もいないからか、いつもより騒いでいて警察に相談でもすべきなのかな…などと考えているとお客さんが来た。
車から降りてきた人は至って普通の細身の男性で私服だったがまぁ、サラリーマンでもやってるのかな…という特徴のない風貌であった。
コンビニの中に入ってきて適当にパンなどを買って店から出ていったので見かけない人だけど通りすがりのお客さんだろうと思った。
店外に出た男性を目で追うと男性はコンビニの目の前に停めた車に乗らずにたむろっている3人組の男性の元へ向かっていった。
年齢的に知り合いではないだろうけど…?と思いながら外へ出ると3人組も男性が自分たちの方へ向かってきていることに気づいたらしい。

3人組が何だよコイツみたいな視線を男性に寄越していると男性はいきなり3人組の1人の顔を蹴った。
思わず「ちょっ…」っと声を上げるが容赦なく殴ったり蹴ったりして3人組をボコボコにしていく。
「ダメですよ!」と近寄っていくとボコボコに殴りながら男性が淡々と声も荒げずに何か言っている。「地べたに触れたものはバイキンと同じだ」
「地べたに触れたものはバイキンと同じだ」
「地べたに触れたものはバイキンと同じだ」
えっ…と一瞬止まったものの放置するわけにもいかない。自分の方がその男性よりガタイが大きいが男性の動作を見ると喧嘩慣れしてる殴り方で「俺が殴られるかも」と思いながら至近距離まで近づくと男性は突然、殴るのを止めた。
3人組の男性は目や鼻をやられて地べたに転がっている状況だ。
その状況でもなお「地べたに触れたものはバイキンと同じだ」と男性は呟いていた。

どうも男性は自分のことを無視している感じだったので3人組の介抱をしようと男性の横をすり抜けて3人組に近づいたが何故か手が止まった。

何でかはわからない。

すると背後から「何で今、介抱しなかったんですか?」と声がかかった。
あの暴行を働いた男性である。
何でだろう…と頭の中で考えようとした瞬間に口からすらっと言葉が出た。

「いや、まぁ、地べたに横たわってるからバイキンと同じかなって…」

言葉にした後に自分、最低なこと言ったな…と思いながら、その男性を見るとめちゃくちゃ笑顔でグッドサインをしていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこちらはツイキャスで放送されている「禍話」で語られた怪談を元に文章化しました。

出典 禍話インフィニティ 第四十一夜 (2024/04/27) 12:45あたり〜

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