エッセイ 詩を詠むこと

僕はこれまで詩というものに
まるで興味がなかったので

良い詩というものがわからない。
誰の詩が良い詩なのかもわからない。

最初は日本の詩人の詩をいくつか
とりあえず読んでみたけど、
何回読み返しても、よくわからない。

そこで「日本の名詩」という本を買って
読んでみた。

僕が好きと思った詩の中から、
1つだけ紹介する。

「紙風船」
落ちてきたら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう
美しい
願いごとのように

作:黒田三郎

この詩のように生きられたらと、
何度でも打ち上げられたらと、
思わずにいられない。

漢詩は原文は読めないけど、
読み下し文と訳文が付いていて、
解説も載っているのでわかりやすい。

詩人が詩を詠んだときの
時代背景や、境遇も解説されていて
その上で詩を読むからわかるのだろう。

漢詩は、いわゆるポエムのような
恋愛の詩が少なく、
男同士の友情や酒を愛する詩が多い。
衰える自身を嘆き、
だからこそ今を楽しく生きようという
詩を目にすると、とても勇気づけられる。

千年の時を経て、
逃れられない老いや死というテーマを
正面から見つめ、
飾らずに詩にする潔さが気持ちいい。

俳句は難しい。

基本的なことは、本を読んでわかった
気になるけど、実際作るとなると、
話しは別だ。

とりあえず、5+7+5の17字を
並べてみて、季語をいれれば、それっぽく
なるけど、出来るのは平凡な句ばかり。

俳句をはじめたのは花鳥風月を四季折々で
感じ、それを詠むことは詩にも通じることだし、
だったら俳句で詠んだことを、
詩で詠むことも出来ると思ったからだ。

俳句を読んで、詩を詠んで、
俳句を直して、詩を直す。

難しくて、面白くもある。

詩は字数制限はないけど、長くなればなるほど、
全体のバランスや、文の配置や、
リズムが難しくなる。

詩を詠んで1年になるけど、
これは終りのない作業なのだと、
つくづく思う。

1つの詩を生み出したとして、

いくら書き直しても、決して満足しない。
なにが正解なのかが、わかっていないからだ。

それでも正解を目指して詩を詠んで、
直して、直して、直しているうちに、

出来のまずさにボツにすることが
よくある。

それでも、
僕にとって大切な詩というものはあって、

自分の詠んだ詩に
自分が励まされることもあって、

だから僕は詩を詠むんだろう。

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