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Photo by
uguisumura
エッセイ 言葉を記すということ
僕には詩的な才能はないし、
文学的な才能なんて、もちろんない。
だけど、言葉を記したい。
なぜだろうか。
誰か、どこか、何かに、認められたい
というのも違う気がする。
では、記した言葉は誰が見るのだろう。
そこに矛盾がある。
自分しか読まない文章なら、
書く必要があるのか。
だけど、自分が書いた文章でも、
1時間後の自分は、
書いた時の自分とは違うのだ。
だから、自分しか読まない文章でも、
書く意味はある。
でも本当は、僕は書いた文章を、
誰かに読んでもらたい。
そして、共感してほしい。
僕と同じ感覚を
共感してもらうことで、
僕の世界は広がりを持ち始める。
広がった世界は、
僕の閉ざされた世界から、
僕の魂を拾い上げて、
僕を解放してくれる。
どこまでも広がる世界。
どこまでも広がる言葉の世界。
無限にあふれる言葉たち。
その中から、
僕は気に入った言葉を選び取る。
僕は言葉たちに引っ張られるように、
次々に言葉を引き出していく。
そして自分では、
決して思いつかない結末に辿り着く。
まるでそこに辿り着くことが、
約束されていたかのように。
そして出会えた言葉たちに、
僕は癒される。
僕が出逢った言葉に、
癒やされることで、
不安な朝が減ることを、
人と会うことが少しでも楽しくなることを、
眠れない夜が少しでも減ることを、
明日を迎えることが喜びにつながることを、
僕は祈る。