詩 ガラス越し

何年ぶりか、母に会った。
ガラス越しに母に会った。

記憶の中の母よりも、
白く、細く、小さくて、
ガラス越しに座っていた。

目を合わせても、
僕のことが、わからない。

合わせた目は、
小さな子供のように輝く。

遠くから、
誰かが会いに来てくれた、
そのことが嬉しいようで、

両手を合わせて、
僕を拝む。

僕は、ガラス越しに、
ほほ笑んで、立っていた。

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