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Photo by
hoikushi_micchan
詩 ナナホシテントウ
ここのところ、寒い日ばかり。
散歩に行こうと思いつき、
川沿いの小道を歩く。
あたりを眺める。
真っ青な青い空、枯れた木の枝、
ススキのホ。
視線を落とす。
そこには、小さな、
ナナホシテントウ。
赤い体に、ななつの黒い星。
どこから来たか。
小さな羽を、ばたつかせ、
落ち着かない。
僕が見ているのが、気になるか。
僕が見ているのが、気にさわったか。
羽ばたきを、繰り返す。
そして、飛び立つ。
ゆらゆらと、頼りなく。
ゆらゆらと、落ちそうに。
見えなくなるまで、
飛んでゆく。
*
僕はベンチで休む。
何かが、ゆらゆら飛んでくる。
見ると、さっきの、
ナナホシテントウ。
さっきの辺りに着地して、
のたのた、ふたたび歩き出す。
僕のことなど、気にしない。
僕のことなど、見ていない。
真冬なのに、生きている。
生きかたを、知っている。
こんなに小さいのに、たくましい。
こんなに小さいのに、頼らない。
かんじがらめで、不自由な僕を、
自由なナナホシテントウが嗤ってる。
そんなことを思いながら、
僕も、ふたたび、歩き出す。