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エッセイ 山吹の一枝
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ここ最近は少し涼しいですが、
暑い夏の日の一コマです。
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晴れた青空。
もうすぐ昼に差し掛かろうというところ。
暑さの中、もう少し早く散歩に出かければ
良かったと思いながら、道を歩く。
この暑さのせいか、歩いている人を
あまり見かけない。
ときどき、水筒の水をゴクゴク飲みながら、
いつもの散歩コースを歩く。
俳句の材料を探して歩くけれど、
あまり拾えない。
仕方なく帰ろうとしたときに、
いつもと違う道が目に入り、
少し足を延ばしてみる。
まだ枯れていない紫陽花などを見ながら、
少し歩くと、道の脇に真新しい立て札が
あった。
どうやら山吹を植えたらしいのだけれど、
以下の和歌が添えてある。
七重八重 花は咲けども 山吹の
みの一つだに なきぞあやしき
和歌の意味がわからない僕は、
家に帰って調べてみると、以下の意味だった。
【訳】
七重に八重に花は咲くけれども、山吹には
実が一つだってならないのが奇妙なことだ。
=「実」のならない山吹のように、
「蓑」一つさえなく、貸してあげられない
のが奇妙なことです。
※蓑:茎葉を編んで作った雨具。(広辞苑)
【参考】
蓑を借りにきた人に、実は貸すべき蓑が
なかったと打ち明けた歌。
「常山紀談」に、鷹狩りに出た太田道灌
(室町時代の武将)が雨に降られ、野中の
一軒家で蓑を借りようとした際、若い女が
無言で山吹の一枝を折ってさし出した。
怒って帰ると、これを聞いた人が、この古歌
の意味だろうと言う。そこで大いに恥じて
歌を志すようになったとの話が載る。
雨宿りをした家で、傘を借りようとしたところ、
家の人に山吹の一枝をさし出されてたら、
どう思うだろう。
この古歌を知っていても、微妙な気持ちがする
と思うのは、僕に風流さがないからだろうか。
でも、雨が降って雨宿りをしたときに、この
古歌を思い浮かべるだろうと思うと、
少し嬉しくなる。
ちなみに、和歌「七重八重(山吹)」に
因む碑が、東京都豊島区高田1丁目
18-1にあるという。
いずれ行ってみたいと思う。
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Ryoko Yunokiさま。
きれいな山吹の写真を使わせていただきました。
ありがとうございます。