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詩 クリスマス

クリスマス。
なんとなく、誰もが、気持ちが、
そわそわと浮き立つ。

特に何かが待っているわけでなくても、
なんとなく、いつもと違う。
でも、一日が始まれば、
いつもと同じ一日が始まる。

僕の子供が小さい頃は、
僕がサンタになって、
プレゼントを気づかれないように
子供の枕元に置いていた。

翌朝起きると、サンタが来たと、
うれしそうに、はしゃぎ、
カーテンを開け、
空にサンタがいないかと真剣に探す。

この幸せな時間は、子供の成長とともに、
次第に色褪せていく。
そして、十年後、サンタをクビになって、
寂しくケーキを食べる僕がいる。

クリスマスの輝きは、すでに過去のもの。
街を歩く恋人たちや、ケーキ屋の前に
行列を作る人たちも、
僕には風景の一部でしかない。

子供たちのプレゼントを買いに行く
幸せも、
包装紙を何にしようかと悩む
喜びも、
夜更けになるまで待ってプレゼントを置く
楽しさも、
翌朝のうれしそうな顔を見る
満足感も、
もう、二度と、僕の人生では
体験できない。

この世界にサンタクロースがいると
信じていた子供たちと暮らした日々は、
とても幸せな日々だった。

僕はサンタクロースから毎年、
幸せを受け取っていた。

失ってみて、気づく幸せが、
またひとつ増えた。

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