エッセイ 思い出せない

淡く
少しだけ苦い

思い出せない
もどかしさ

忘れたいことは
忘れてしまおう

忘れたくないことは
忘れないで

僕が覚えているのは
教室の隣の席にすわる
君の横顔

その綺麗な眼差しは
でも僕を見ていない

白く眩しい夏服
かがやく笑顔

遠くから眺める僕

一言も
話しかけられない

僕が思い出すのは
君の白い右の横顔

透き通った目

肩にかかる
少し茶色の
サラサラした髪

会うことはない
君の横顔を

なぜかこの頃
思い出す

君と言葉を交わす
少しハスキーな声音
君は少し微笑んで
僕の名前を呼ぶ

遠い記憶の果て

思い出せない

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