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エッセイ サナギの季節

久しぶりに青空が広がる。

近くの公園に咲く花たちも、
気持ちよさそうだ。

公園にも子供たちの姿が戻った。

青空は白い雲と重なって広がり、
鳥たちの鳴き声が響いている。

厳しい冬が来る前の、
やさしい、ひととき。

この一日が、永遠に続けばと、
願わずにはいられない。

ふと、木の下にモゾモゾ動く
ものがあるのに気づく。

見ると、蝶の幼生ようせいだ。

尻にはツノのようなものがあり、
少しずつ前に進んでゆく。

僕は幼生は好きではないが、
眺めていると、不思議に思う。

この幼生が、あの美しい蝶に
変態するなんて、
知っていても、信じられない。

彼らはなぜ、
自分が蝶になれることを
知っているのだろう。

どうして、
変態に必要なやり方を
知っているのだろう。

本能の一言で片づけて、
知った気になっているけど、
何も分からない。

僕の子は、今まさに、
サナギの時期にいる。

幼生のときの愛らしさは欠片もなく、
別の人格として再構築の真っ最中だ。

思春期。

身体が変わり、精神が変わり、
一人で生きられるように変態を遂げる。

幼生が蝶になるためサナギとなるように、
人も思春期というサナギの時期を経て、
大人へと変わる。

それは、誰も助けてあげられない。

その苦しい時期を、
サナギの時期を。

今、振り返って思えば、
いつも僕を導く何かがあった。
確かにあった。

そう思える自分がいる。

それが何かは、わからない。
その何かが今も僕を導いてる。

それは本能と呼ばれるものと、
同じ種類のものなのだろうか。

直感
ひらめき
言葉
出会い

僕の知る限りにおいて、
その導きに、嘘はない。

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