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僕は椅子にすわり、両手を組みあわせ、 テーブルにひじをつき、 組み合わせた親指にひたいをあ…
地平線の少し上に見える、 大きな、大きな、赤い月。 それはまるで、襲いかかるよう。 天空…
さびしいと、さびしくなる。 うれしいと、うれしくなる。 だれも話すあいてがいないと、さび…
雨が降る。 しとしと、しとしと。 大人しく、つつましく。 傘をさす。 濡れないように。 さ…
自分では、 どうすることもできないことがある。 自分では、 どうにもならないこともある。 …
ここのところ、寒い日ばかり。 散歩に行こうと思いつき、 川沿いの小道を歩く。 あたりを眺…
冬のキンモクセイは、 だれも目に留めない。 だれもが、枝だけになった木の前を 通り過ぎる。 秋のキンモクセイは、 その芳香に、 誰もが惹かれ、 安らぎを覚え、 その花の色に目を楽しませる。 同じ場所に立つ、同じ木なのに、 人の反応は、まるでちがう。 その香りは、辺りに手を差し伸べる。 とても届かないと思う場所まで、 その香りは届いて、 人の気持ちをなごませる。 やさしさ、思い出、遠い記憶、 ぬくもり。 息を大きく吸い込むと、 肺のすみずみまで、 さわやかな芳香が