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A子(不倫女)に会いに行った。前編

私が初めて、A子に会ったのは夫との不倫がはじまってから、1年半ほど経った頃。

A子と初めてあった日の前日、私は二人の同棲アパートに突撃したのだけど、夫だけがドアの外に出てきて、「A子とは今さっき別れた。もう関係ないので、A子には会わないでくれ。」と言われ、どうしても会わせてくれなかった。

私はそれが許せなかった。別れたなんて信用もできないし、そうだとしても、不倫して同棲までしており、悪質すぎる手口の謝罪もないだなんて非道すぎると思っていた。

不倫してたけど、別れたから、もういいだろ?なんて、さすが不倫する人達の倫理観にはついていけない。本当に別れたのかを、A子にも確認したい。(今まで10回以上、別れと復縁を繰り返してきたので、信用できない。)

重ねて、慰謝料の請求のためにも、A子の連絡先も聞いておきたかった。

そういった気持ちがあり、翌日、夫とA子の職場(二人は同じ職場)の駐車場でA子を待つことにした。A子はフルタイムではないため、15時頃に仕事を上がると知っていた。車も分かっていた。夫はその時間はまだ仕事なので、鉢合わせることもない。

私はドキドキしながら、A子を待った。不倫の証拠もとりたかったので、録音の準備もした。

そして、時間通り、A子は現れた。私はA子の車のすぐ近くに、自分の車を停めていた。ドキドキしながら、車を降りた。

私:「〇〇(夫の名前)とお付き合いされているA子さんですよね?」
A子:「もう別れました・・・」
私:「いつからお付き合いされていましたか?」
A子:「昨年の夏頃かな・・・」

私は憤っていた。A子も驚いてはいたかもしれないが、私よりも随分落ち着いて見えた。私は、怒りで冷静さを失っていた。彼女の顔を見た途端、証拠なんてどうでも良くなった。年下のA子が冷静だったのは、愛されている自信があったのかもしれない。私よりも優位に立っていたんだろう。

もし、本当に夫がA子と別れていたとしても、それは私のことが好きだからではない。夫は私のことはもう嫌いになったのだ。私は何度も「離婚したい」と言われていた。

私はもう負けてたんだ。負け犬の遠吠え。

だから、怒りに任せて、暴言こそ吐かなかったものの、まくし立てるように、A子を問い詰めた。肝の据わったA子は「この後、仕事があるので、遅れるということを職場に電話いれさせてもらっていいですか?」と私に確認し、職場へ電話を入れていた。虚しかった。

美女とまではいかなけれど、普通に可愛らしい子だった。この子なら、こんな不倫なんてせず、普通に幸せな恋愛ができるはずなのに、どうして・・・。

私は夫の不倫が発覚してから、20キロも太ってしまった。(真実です・・・)よりいっそう、虚しくなった。

私は気持ちを立て直し、A子との会話を録音しながら、二人が付き合うことになった日にちの確認や、どれくらいの頻度で同棲アパートで過ごしていたか、本当にA子は離婚したのか、など質問をした。

A子は落ち着いて答えていたが、うまくはぐらかしていた。私はその時、はぐらかされていることにも気付かないほど動転していた。そして、涙する私に、「車内で話しましょう」と声をかけ、ティッシュを渡してくれた。A子は何度も「ごめんなさい。」と謝った。

辛かった。A子がとんでもない女なら良かった。徹底的に潰してやりたいと思っていた気持ちがしぼんでいった。でも、それはA子の策略だったのかもしれない。今となっては分からない。賢い女性なんだろう。彼女となら、夫はうまくいったかもしれない。そんなことまで頭を過った。

A子からは逆にいくつか質問された。質問されることに、腹立たしさを感じた。A子の質問は「本当に夫婦仲は破綻していたんですか?」「セックスレスっていうのは本当だったんですか?」というような、不倫にありがちな内容だった。質問するということは、彼女もきっと100%夫を信用していなかったのだろう。当たり前か。どのような状況であれ、不倫をするような男だ。信用するに値しない。私はバカだったので、このような質問に正直に応えてしまった。A子と同じようにはぐらかせばよかったと、後から気付いた。

A子は別れたと言うので、今後夫とは連絡を取らないようにお願いした。A子は泣いていた。

「私なんかが泣いてごめんなさい。」と言いながら、わんわん泣いていた。私も泣いていた。悪い男に人生狂わされた女が二人。状況は違えど、泣いていた。悲しかった。もっと早くにA子に会えばよかった。A子なら、私が真実を話し、別れるようにお願いすれば別れてくれていたかもしれない。

しかし、夫から「A子は黒い友達がいる」と聞いたりしていたので、怖くてなかなか会うことができなかった。それも夫の嘘だったのかもしれない。A子自身のことも、かなり怖い人物として聞いていたので、娘に危害が及ぶのを恐れていた。なので、なかなかA子と対峙できなかった。A子は確かに、気の強そうな女性で言葉使いも乱暴だった。しかし、真っ直ぐで情に脆いところも見て取れた。

私はやり方を失敗した。

そして、一通りの話を終え、「慰謝料を請求するかもしれないので、連絡先を教えてください」と伝え、A子の電話番号とLINEを聞いた。ただ、私はA子と話せば、話すほど、彼女は被害者だと感じるようになり、慰謝料を請求する気持ちが薄れていた。最初に彼女に話しかけた時の怒りは、A子と別れる頃には悲しみに変わっていた。

それでもA子に「今後、夫とは連絡を取らないでください。」と釘を刺した。

A子:「連絡は取りません」
私:「夫の連絡先をいま、消してください。ブロック削除してください。」
A子:「消すことはできません。」
私:「どうしてですか?いままでみたいに別れたと言いながら、また連絡を取り、復縁するつもりですか?」
A子:「違います。想い出のLINEをまだ消すことができません。それと最後に彼に伝えたいことがあります。」
私:「なんですか?」

続きます。



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