暗闇からきた恐喝者 / ハドリー・チェイス


ハドリーチェイスは逢坂剛がかなり推していた作家だった記憶がある。
チェイスの作品はどの作品も読者を失望させることはないと言っていたような気がする。なにもかもあいまいで申し訳ない。

しかし、逢坂剛の言った(と思われる)ことはおそらく当たっている。
わたしはこれまで何作かチェイスの作品を読んだが、外れはなかったからだ。

Amazonのレビューが一個もついていないこの作品……暗闇からきた恐喝者すら例外ではない。おそらく彼の作品の中では目立たない作品だったのだろうが、壊れたところの少ないウェルメイドな作品になっている。

この作品の面白いところは、序盤とそれ以降で全く雰囲気が変わってしまうところだろう。麻薬中毒だが歌の才能がある女を、一流の歌手に仕立て上げようと主人公がなんとか頑張るのが序盤の展開だ。ここだけを抜き出すと平和そうな話に見える。なんならラブストーリーっぽくなりそうな雰囲気すらある。というか、普通の作家ならそういう作品に仕立て上げるだろう。

しかしチェイスはそうしない。この序盤を抜けると、殺し殺され、だましだまされのサスペンス的な展開に一気に突入する。

個人的には結構気に入ったのだが、あんまり評判よくないんでしょうか。読書メーターにもほとんどレビューがないし。なぜですか。

そもそもチェイス自体が有名じゃないということか。かなちいね。
南無。



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