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【小説】衆議院選挙に行ってみた(本文:1338文字)
こんにちは、箱庭です。
今回は衆院選をテーマに小説を書きましたが、終わりに2024年の衆院選に関する情報をまとめておりますのでよろしければそちらもご覧ください。※2024年の衆院選は終了いたしました。
ポストに入っていた投票権を手に投票所へ訪れた。
衆議院選挙、衆議院議員、授業で習った覚えはあるが思い出すに及ばないのは遠い存在だからか。あるいは難解なものに脳が蓋をしてしまっているのか。恐らく両方なのだが街頭で触れた演説に胸が熱くなってなんとなくここまで来てしまった。
投票所から出てきた人と目が合うと思わず封筒をひらひらさせて挨拶をしたのだが、個人情報を振りまいてへらへらしている辺り想像以上に緊張しているみたいだ。とりあえず封筒はしまっておこう。
「投票所入場整理券はお持ちですか?」
投票所の前で立っていた人に尋ねられて封筒から用紙を取り出した。
「ではあちらでお待ちください」
そう言われて投票所の入り口に立つと、数は少ないが何人かの人が投票している光景が映る。流れ作業で淡々と行われているが厳かな雰囲気を纏う空間。受付に呼ばれて部屋の明かりに照らされる瞬間は妙な緊張感が走った。
「投票所入場整理券をお願いします」
整理券を渡すと名前を確認されて投票用紙交付係に進むように促された。私は整理券を返してもらい次に進む。
「整理券をお願いします」
交付係に再度整理券を渡すと代わりに投票用紙が渡された。空気を和らげたいと思ったのか、機械から投票用紙が出たとき少し大きめにリアクションを取ってしまって恥ずかしかった。さらに交付係が無反応であったことで虚しさも覚えたが、おかげで緊張はほぐれた気がする。
「記載台で投票用紙に記入し、投票箱に投函してください」
今度は記載台に来た。何枚もの衝立で区切られている中の一つに入ると奥に紙が貼られていた。
小選挙区の候補者名だ。そういえば演説していた人以外で誰が自分の地区から出ているかなんて考えたこともなかった。我ながらいい加減だなと思いつつここまで来たら引き返すのも億劫で記入を始める。絶妙に書きづらい高さで前のめりになりながら候補者名を書き上げると今度は比例代表の用紙に目を向ける。
政党の違いもよく分かっていないが、テレビで色んな党の代表が話していたような気がする。難しい話が多くて理解できない部分も多かったけれど、それでもいいかもと思ったのが何個かあった気がする。でも記載できるのは一つか。やっぱりいい加減だけど人柄が良さそうな人の党を選んでおこう。
最後は最高裁判所裁判官国民審査という紙。いよいよ頭が限界に近いが、やめさせた方がいい裁判官に×を記入するらしい。こんな権限も自分は持っているんだなと感心しつつ記入を済まし、私は全ての用紙を投票箱へ投函した。
終わってしまえば5分もかからなかった気がする。でもなんだか達成感が凄い。こう、立派に役目を果たしたなと自己肯定感が高まってくる感覚。
後日調べてみると、NHKが衆院選特設サイトと銘打って色んな情報を提供しているのを見つけた。自分の地区に誰が出馬しているか、各政党がどんな公約を掲げているのか、裁判官についても触れていて、これを見ていたら付け焼き刃ながらもっと自信を持って選択できたのかもしれないと思った。
しかし自分の一票を投じたというのは大きな前進だ。それに投票するチャンスはこれから何度もあるだろう。次はもっと良い選択ができるように、良し悪しを判断できるように、政治の行方を見つめて考えていきたい。
お読みいただき、ありがとうございました。
作中の通り、衆院選では3つの項目を記入して投票します。
小選挙区選出議員選挙:自分の地区の候補者から選んで記入します
比例代表選出議員選挙:支持する政党を記入します
最高裁判所裁判官国民審査:裁判官が裁判官として適しているか審査します(適していない裁判官には×を記入し、適していれば何も書きません)
作中で触れました、NHK衆院選特設サイトは下記よりご覧いただけます。※2024年の衆院選が終了したため、今後下記のリンクをご参照できなくなる、もしくは内容が変更される可能性があります。
自分の地区では誰が立候補しているか、各政党がどんな考えなのか、裁判官が過去にどんな判断を下したのかなどを確認できるため、投票の助けになるかと思います。
(こちらのリンクは衆院選2024版となります)
また、手ぶらで行っても本人確認ができれば投票できるそうです。※2024年の衆院選は終了いたしました。
投票自体は数分で完了しますが、投票最終日(2024年10月27日)は混雑する可能性があるため期日前投票を使うと良いかもしれません。
慣れないものに触れるのは大変でありますが、
皆さまの不安が少しでも拭えたなら幸いです。
追記:衆院選終了した旨、付記しました。
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