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【二次創作】もしもメリーさんがブロリーに電話をかけたら(本文:2410文字)

※本作は『ドラゴンボール』と『メリーさんの電話』の二次創作小説となります。原作と異なる設定および表現を含むため、苦手な方はご注意ください。

この作品は「ブロリーMAD」の展開を踏襲しておりますが、
MADを知らなくても楽しめるかと思いますので気軽にご覧ください。
※ブロリーMADをもっと詳しく知りたい方は下記をご確認ください。


「もしもし私メリーさん。いま宇宙船に乗っているの」

 地球から遠く離れた星に一通の電話が入った。聞き慣れぬ声色に困惑するブロリーが返事をする前に電話は切れてしまう。

「なんなんだぁ今のはぁ」

 ブロリーは不思議がるも深く気にせず、すぐに自室へ帰っていった。しかしブロリーが不審な電話を取ったことをキャッチした一人の男が急いでブロリーの部屋へ駆け寄る。

「ブロリー! メリーさんからの電話を取ったのは本当か?」
「オヤジ」

 パラガスはブロリーの身体に変化が起きていないか確かめるも、気持ち悪がるブロリーが一人用のポッドを探し始めたところで事情を説明する。

「あれは呪いの電話なのでございます。標的へどんどん近づいていき最後には背後に忍び寄ってくる」
「オレは悪魔だぁ」

 聞く気がないブロリーに小一時間メリーさんについて説明すると、ブロリーは納得がいった様子で笑った。

「つまり背後に来たらオレがメリーさんを血祭りにあげればいいんだな」
「やっと能天気なお前でも呑み込めたようだな」

 二人は不敵な笑みでメリーさんの来訪を待つ。

 パラガスによれば、メリーさんは近づく度に電話で現在地をお知らせしてくれるらしいが、ブロリーが最初に取った電話以降、いっこうに電話がかかってこない。待っているのも退屈になってきたパラガスは科学者にメリーさんの現在地を特定する装置を作らせた。

「パラガスさま、あなたさまの気一つでメリーさんの位置を特定することも放置することも自由自在でございますじゃ」
「あぁそうか」

 パラガスは早速メリーさんの位置を確認した。確かにこの星に近づいているようだが少し軌道が逸れている。このままいけば――

「いつまでオレさまを待たせるつもりだ」

 外で騒ぐベジータの声にハッとするパラガス。思えばブロリーにメリーさんの説明をしている間ずっと待たせっぱなしになっていた。パラガスはすぐさまブロリーを連れてベジータの下へ向かった。

「ベジータ王バンザーイ!」

 宮殿の外へ向かうとならず者たちがベジータを歓迎していた。ベジータはやや機嫌を損ねている様子だったが、パラガスが駆けつければその溜飲も下がったようだ。

 ベジータはブロリーに鋭い視線を向けた。パラガスの紹介を振り切ってベジータはブロリーへ話しかける。

「お前もサイヤ人のようだな」

 ブロリーが頷いて軽い挨拶を済ましていると、ならず者の群衆をかき分けてこちらに向かう者が現れた。

「申し上げます! トトカマ星にメリーさんが現れました!」
「なんだメリーというのは」

 パラガスがベジータに説明している最中、タイミング良くブロリーの携帯にメリーさんから電話が入った。ブロリーが電話を受けようとすると、ベジータが横取りして代わりに電話を受けた。

「もしもし私メリーさん。いまトトカマ星にいるの」
「ベビーだかメリーだか知らんが、サイヤ人の王子ベジータさまが相手してやる。首を洗って待っていろ」

 話し終える前にメリーさんが電話を切ってしまったのがカンに触ったのか、ベジータは酷く怒った状態でトトカマ星に向かうと名乗り出た。

「後に続けパラガス、ブロリー」

 ベジータはパラガスとブロリーを同行させて、トトカマ星へと旅立った。

 ベジータ一行は程なくしてトトカマ星へ到着した。ベジータが気を探るにメリーさんはすぐ近くにいるようだが姿が見えない。メリーさんを探して岩盤の見える丘に着いた辺りでまたメリーさんから電話がかかってきた。

「もしもし私メリーさん。いまベジータの後ろにいるの」

 電話を取った瞬間、ブロリーが伝説の超サイヤ人となりベジータの首に腕をかける。そして勢いづけて岩盤へ叩きつけた。

「その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。俺たちの敵はもはや一人もおらん!」

 岩盤にめり込むほど叩きつけられたベジータはパラガスの嘲笑の中、暗い奈落へと崩れ落ちていった。刹那、ベジータの背中から飛び出す者をブロリーは見る。

「へあっ!」

 驚きながら飛び出した影の行方を探すブロリーだが完全に姿を見失ってしまった。

「クズがぁ……お前が戦う意志を見せなければオレはこの星を破壊し尽くすだけだぁ」

 高めた気を掌に込め緑のエネルギー弾として放出する。そしてまさに星へ投げ入れようとしたとき、ブロリーの携帯に電話が入った。

「もしもし私メリーさん。いまパラガスの後ろにいるの」
「ナニィ!」

 ブロリーはパラガスの方へ振り返る。するとパラガスの背中に小さな人影を見た。

「オヤジ、メリーが後ろにいるぞォ!」
「全てはお前の言う通りだ」

 メリーさんが後ろでブロリーに電話をかけているのを聞いていたパラガスは懸命にメリーさんを振り解こうとしていたが、メリーさんは背中から一向に離れない。さらに崖に用意された一人用のポッドを見つけ、パラガスは自身の末路を直感した。

 ウィーン。

 パラガスがメリーさんごと一人用のポッドに乗り込む。少し窮屈ではあるが幸いなことにメリーさんが小柄なため難なくドアを閉めることもできた。そこへブロリーがやってくる。

「どこへ行くんだぁ……」

 メリーさんを倒すためとはいえ、ブロリーにとって自分は唯一の肉親。自分の親が犠牲となることに少しくらい情けや躊躇いがあるかなとブロリーを見上げるが、一点の迷いもない表情にパラガスは何もかもおしまいであることを悟り、ブロリーはパラガスが何も言っていないのに「一人用のポッドでか?」と尋ねて話を進めている。

「ハァァ!」

 伝説の超サイヤ人の驚異的なパワーでポッドが押し潰されていく。今度はメリーさんも逃げ道がなく脱出できないようだ。

「ウゥゥン! ウォォォォァァアア!」
「ヌオオォォアァ……」
「アアァァ……ンンアア! ウオオォォアアァ!」

 槍のように鋭くなったポッドをブロリーは思い切り遠くへ投げ込み、ポッドは巨大な彗星に飲み込まれ消えていった。

 メリーさんとの戦いが終わり、勝利の雄叫びをあげるブロリーに一件の着信が入る。はてさてこの先どうなりますことやら。

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