【小説】蛙の雨宿り(本文:581文字)
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朝から雨樋の上に蛙が佇んでいる。窓を除けばあいにくの雨。それもどしゃ降りの雨であるから過ぎ去るのを静かに待っているのだろう。しかし視線を向けてもちらりともこちらを見ないで雨ばかり見ている。
外様の癖してふてぶてしい奴だなんて思うも窓を開けて追い払う勇気はない。私は蛙が苦手なのだ。それに、こんな酷い天気の向こう側へ追いやったらどことなく悪者の気分になってしまうだろう。そうやって静かにしている分は見逃してやるから、私が帰るまでには出ていってくれと窓を小突いて私は出かけた。
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