ふと思ったこと
庭の木陰にイスを置いて座っている。
横では夫が生垣の枯れた部分を取り除いている。
昨日までの雨で緑がイキイキとして、青空と日の光に輝いている。蜘蛛の巣もキラキラしてる。
ただボーッと座っていると自分が自然の一部になった気がする。
ときおり蜂が通り過ぎ、蝶が通り過ぎ、ヒヨドリが通り過ぎ、風が通り過ぎる。
木がザワザワと音を立てて揺れ、風鈴がチリンと鳴る。
遠く近くに鳥の声が聞こえる。
よくわからない虫が腕にとまり、蟻が足を登ってくる。
しじみ蝶、紋黄蝶、アゲハ蝶、蟻、あしながばち、桜、椿、紫陽花、ジュウシマツ、メジロ、カラス、夫、私。
全てに名前がある。
もとは全てに名前は無かった。無くても良かった。
ただ存在してるだけ。ただ生きてるだけ。生きるのに必要なことをただ淡々と。
食べ物を探す蟻や鳥、花の蜜を吸う蝶や蜂、雨に潤う木々。
産まれてから死ぬまで、芽が出てから枯れるまで。
私も同じ。自然の一部。ただの生き物。
飛び方を気にする鳥、ハネの模様を気にする蝶、効率を気にする蟻、美しさを比べる木。
自然の中にいるとあるがままを良しとできる自分になれる。
誰も私を傷つけない。
私も誰も傷つけない。
私はどこにいても誰といてもただ淡々と生きる生き物でありたい。