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どう見ても庭師
夫がタオルを頭に巻いて、庭の木を切りまくっている。
「枝が密になっている。」
「この木が無ければ広く感じる。」
「俺の通行の邪魔になる。」
『いや、まだどんなふうに花が咲くか、実がなるかわからないじゃない。一年は様子を見ようよ。』
「これは?この枝はいらないよね?」
「これが無ければ新芽が伸びやすいよ、きっと。」
「これ邪魔なんだよね〜(すごく嫌そうに)」
『うん、もう好きにしていいよ。
その代わり、木以外の植物は残しておいてね。』
この庭にある植物はほとんど名前を知らないものばかり。
チューリップ、パンジー、マリーゴールド、フリージアとかをこまめに植え替えるタイプの庭ではない。
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このほかにも紫陽花や金木犀、ツツジなどが綺麗に配置され、庭を囲むように生垣があり、鬼門の方角に柊が植えてある。
いろいろ考えられた庭なのかな、と思う。
夫はとても器用で、センスもある。
息子たちが小学生の間、散髪は夫がやっていた。
長男が幼稚園の頃に一度だけ私が切ったことがあり、それを見て夫が、
「かわいそうに。これからは俺がやる。」
夫はすきバサミを駆使して、見事に斜めぱっつんを立て直してくれた。
最近は涼しくなり蚊もほとんどいないので、私も庭のイスに座って夫の作業を見ている。
たまに雑草を抜いたりゴミを集めたりする。
以前は「お前も少しは手伝えよ。」と言われてる気がして、無理して手伝っていたけど、
「これは俺が好きでやってるだけだから気にしなくていいよ。」
と言われてからは心置きなくのんびりしている。
「そうは言っても少しは手伝わないと申し訳ない。」という罪悪感はしばらく続いたけど、今はもう本当に平気になった。
夫は体力の限界までやってしまうからたまに不機嫌になるけど、最近はすぐに爆睡するので気にならない。しかも例の和室で。
お互いが自分の好きなことをやりつつも不満なく過ごせるのは本当に幸せだ。