点字の「裏」ワザ(点字のはなし(45))
皆さんは、点字盤(板)で点字を書いている人を、見たことがありますか?その時に、点字を書いている人が、時々四角いマス内で、点筆をササッと素早く回す動作に、気づかれましたか?
これは、
「このマスには、まだ何も書いていないよな」
という、確認の動作なのです。
何も書いていないマスでは、点筆の先をスムーズに回せます。
逆に、既に書いてある(既に押してある)マスは、凹の部分があるため、この動作をすると、点筆の先がひっかかり、サッと回すことは出来ません。
つまり、
「点筆の先がひっかかるマス」=既に書いたマス
「点筆がスムーズに回るマス」=何も書いていないマス
という事を、点筆で「ササッと」確認しているわけなのです。
この「ササッと」動作、一度点字盤(板)から手を離し、また戻った時にも、よく見かけます。
既に書いたマスとこれから書くマスの境目を探って、どこから再開すれば良いかを確認しているんですね。
ただ、この動作は、よく見かける割には教則本に載っていませんし、名称もありません。
ですが、私は、生徒さんに教えることが多いです。
原則、「点字は手元を見ないで」ですから、必然的に必要になるのです。
記事へのリンク↓「手元を見ないで」↓
この「裏からササッと」の動作、力加減が微妙なので、少し練習が必要です。
力を入れすぎると、ブスッと押して(書いて)しまったり、ひきずるような跡が紙についてしまいます。
コツは、点筆を軽く、かるーく握ること、です。
さて、実はこの動作、慣れてくると点筆のボコボコひっかかる感覚によって、「どこの点が押してあるか(凹になっているか)」がわかるようになります。
要するに「凹面」を「点筆で読み取る」事が可能になる…。
「点字を読む」というと、通常は、「凸面を、指先で触って」読むことをさします。
それで、
「私は指の感覚がにぶいので、触っても読めそうにないです。だから、点字は無理です。」
とおっしゃる方も多いのですが。
でも、この「ササッと」をやれば、指で触らなくても、点字が読めちゃわない?
もちろん、凸面を読める方が便利に決まっています。
じっさい、「裏から点筆で触るのは、本当に読んだことにならない」と言われたこともあります。
そうですよね。
確かに、「点字の凸面が読めない人は、凹面でいいじゃない!」とまでは、言えませんよね。
でも、まあ……「読め」ますよね……?
これはまさに「裏」技だと、私は思っているのです。
by くろうーろん
※こちらは過去にssブログ(2017-10-12 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。