
原義を知ると、本質が見えてくる
私の悪い癖として、ときどき突発的に古代語を勉強したくなるということがある。ラテン語や古典ギリシア語は多少かじったが、サンスクリットや聖書ヘブライ語はテキストを買うだけで積ん読状態になっていた。
またぞろちょっとした契機でヘブライ語に興味が湧いていたところ、本を買っても積み上げるだけだともったいないということでYouTubeで動画を観るだけにしておこうと思って検索すると、次の動画が出てきた(本当にいい時代である)。
冒頭で、「アーメン」とか「ハレルヤ」といった有名なヘブライ語の単語が紹介される中で、「サタン」も登場する。サタンSatanは「サータン」という動詞を名詞化したもので、「サータンする人」という意味である。そしてその「サータン」とは、「羨む気持ちを起こさせる」とか「敵意を抱かせる」とかそういった意味あいの動詞らしい。我々の人生を苦しくさせるものは、他人に対して必要以上の羨望を抱いたり敵意を抱いたりすることである。
ジャン・ボードリヤールは『消費社会の神話と構造』の中で消費を「他人の欲望を欲望すること」と定義した。現代の資本主義の構造の中ではそうした他人の欲望に対する欲望を日々生み出すような生活の様式がすでに確立されてしまっている。ふつうに生活していればどうということもない日常が、渇望と羨望により苦しみに満ちたものになってしまうのは悪魔の囁きのせいであるといえばその通りであるだろう。まさに悪魔とはそういうものとして生まれたはずだからだ。
アラビア語同様、ヘブライ語もほぼ子音しか書かない。母音はわかりきっている場合には表記する必要がないからで、これは日本人が漢字にふりがなを振るが、読み方がはっきりしている場合にはそのまま表記されるのと同じようなことであろう。アラビア語もヘブライ語も右から左に読んでいく。
文字の名前と書き方を覚えるのが第一歩だが、上の動画ではまとまっていなかったブロック体と筆記体、それから文字の順番と読み方は下の動画に整理されている。節もついているので、これをひたすら繰り返して聞けばヘブライ文字もなんとなく覚えられるだろう。
ヘブライ語というとすぐに日猶同祖論が出てくる(ちなみにATOKは「ユダヤ」の漢字を変換できない)。「君が代」や「ソーラン節」がヘブライ語に由来するという説があるが、それについてもイスラエル在住のユダヤ人ネイティブが解説している動画があり、参考になったので紹介しておく。