ラテン語雑記
古代ローマに関する本をいろいろと読んでいる。英語や英語圏の文化をより深く理解するためにも古代の知識は必須である。現代の英語に連なるローマの風習などについて、どうしても総花的にはなるが記していこうと思う。
candidate
無論「候補者」の意味だが、ラテン語(candidatus)の元々の意味は「真っ白な」という意味である。彫刻などでイメージされるとおり、古代ローマの人々はトーガを着ていた。
このトーガは、彫刻では当然白だが、実際には多種多様な色のものが着用されていたらしい。しかし公職に就く人や、選挙に立候補する人が着るトーガは必ず白であった。選挙演説中には、とりわけ白いトーガが着用されたことから、候補者のことをcandidatus、つまり「真っ白な」と呼ぶようになった。
Quo usque tandem abutere, Catilina, patientia nostra?
「いつまで我々の忍耐力を浪費するつもりだ、カティリーナ?」と訳されるこの一文は、紀元前63年にキケロがルキウス・セルギウス・カティリナのクーデター計画に対して行った演説の第一文として知られる。説得力のある演説の例として、古代から中世〜近代に至るまで知識人や修辞学者が詳細に研究し、ラテン語を学ぶ学生の教材としても用いられ、トニー・ブレアやバラク・オバマの演説の基盤になっているとも言われる。
patientia nostraが「我々の忍耐力」で、nostraは「私たちの」。「ノストラダムス」nostra damsは「我々の貴婦人」、フランス語では「ノートルダム notre dame」となる。