事前指示書・尊厳死宣言書とは?
「自分らしい終末期を過ごしたい」「延命治療は受けたくない」などの希望はあるけれど、どのようにしたら実現できるのかと心配されている方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、終末期の過ごし方や医療・ケアの希望を記した書面である事前指示書や尊厳死宣言書についてご一緒に見ていきましょう。
事前指示書とは?
事前指示書とは、自分自身で判断ができなくなった場合に、どのような医療やケアをして欲しいか/して欲しくないかの希望をあらかじめ書き記した書面のことです。リビングウィルともいいます。
延命措置、苦痛緩和措置、緩和ケア、最期の過ごし方などについて希望を具体的に書きます。
延命措置は、回復する見込みがない患者に生命を維持・延長させるための人工呼吸器などによる呼吸機能の補助や、点滴、胃ろうなどによる栄養・水分の補給を行うことです。
苦痛緩和措置は、疼痛や呼吸困難など身体的な苦痛に応じて、医療用麻薬を投薬することなどをいいます。
尊厳死宣言書とは?
尊厳死宣言書とは、尊厳死を望み、延命治療を中止・拒否する考えを記した書面のことをいいます。公正証書で作ることも可能です。
尊厳死とは、延命措置を行わないで、人としての尊厳を保って死を迎えることをいいます。
書面を作ればほんとうに実現される?
「自分のことは自分で決める」という自己決定権が尊重されますが、法的拘束力は発生しないため、書面を作ったからといって必ず実現できるとは限りません。これは公正証書であっても同じです。
いざというとき書面が見つからない場合は?
終末期の過ごし方や医療の希望を書面に作っておくことは大切です。しかし、「もしも」のときに、家族が書面を探したり、読む余裕がないかもしれません。
ACPを行う
そこで、パートナー、信頼できる友人、家族、親族、主治医やケアマネージャーなど医療・福祉のスタッフなどを交えて、ACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)を行うことをおすすめします。
ACPとは、終末期の過ごし方や医療について、信頼できる方や専門家と話し合い、その希望をみんなで共有する取り組みです。
ACPを行うことで、気持ちが整理できるとともに、書面作成の経緯や書かれている内容の意図がより明確になり、「もしも」のときにより真意が伝わりやすくなります。
医療意思表示書を作る
本人と意思疎通ができないとき、医療機関・福祉施設のスタッフは、通常であれば配偶者、子ども、親、きょうだいといった家族に説明・相談しながら、医療・ケアの方針を決めます。
しかし、家族がいなかったり、疎遠で、普段からもっと身近にいて信頼できる方、例えば事実婚・同性カップルのパートナーにその役割をお願いしたいという方もいるでしょう。
そのような場合は、医療意思表示書という書面で、その方を「家族等」に相当する代理人として指定し、優先的に面会できる権利を与えたり、自分の代わりに説明を受けたり、医療判断をする権限を委任しておくことをおすすめします。
まとめ
「自分らしい終末期を過ごしたい」「延命治療は受けたくない」などの希望は、事前指示書(リビング・ウィル)や尊厳死宣言書という書面で意思表示できます。ただし、これらの書面には法的拘束力はないため、確実に実現できるとは限りません。
そのため、お元気なうちに、パートナー、信頼できる友人、家族、親族、主治医やケアマネージャーなどを交えて、終末期の過ごし方や医療・ケアの希望について話し合い、情報共有をしておくことをおすすめします。
もしも、書面を作るうえで心配ごとや疑問などがありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^