遺言執行者とは?
遺言書を作ろうとすると、「遺言執行者になる人を決めておいたほうがいい」とアドバイスされることがあるかと思います。
そこで今回は、遺言執行者はどんなことをするのかや、決めておくべきケースや決め方などをご一緒に見ていきましょう。
遺言執行者とは?
遺言執行者には、民法で強い権限が与えられています。
遺言執行者になれる人は?
複数人を選ぶことや、法人を選ぶことも可能です。
また、遺言執行者に選んだ人が何らかの事情で職務が行えない場合に備えて、予備として別の人も選んでおくこともできます。
遺言執行者を選んだほうがよいケースは?
遺言執行者を選ばなければならないケースは?
上記の場合は、遺言執行者が手続を行わなければならないため、遺言で遺言執行者を決めておかなければなりません。
遺言執行者の決め方は?
「遺言執行者となる人」を遺言書で指名する
遺言者が、遺言で「遺言執行者となる人」を決めておく方法です。この場合は、遺言書に次のような文言を入れておきます。
遺言執行者に選ばれていたことを突然知ると戸惑ってしまうので、事前に了解を得ておくことをおすすめします。
「遺言執行者を決めてもらう人」を遺言書で指名する
遺言では「遺言執行者を決めてもらう人」だけを決めておき、相続開始時にその人に遺言執行者を選んでもらう方法です。
遺言書作成時と相続開始時では状況が大きく変わってしまう可能性があります。そのようなときに備えて、信頼できる人に遺言執行者に選んで欲しいときにこの方法をとります。
家庭裁判所に決めてもらう
相続開始時に次のような状況となっている場合は、家庭裁判所に選任の申立てができます。
遺言執行者が指定されておらず、適任者がいない
遺言書で指定された人が亡くなっている
遺言書で指定された人が遺言執行者としての職務遂行能力が失われている
遺言書で指定された人が遺言執行者の就任を拒否した
遺言執行者が辞任した・解任された
「遺言執行者を決めてもらう人」が選んだ人が遺言執行者の就任を拒否したり、適任者が見つからない
どんな人に遺言執行者になってもらうとよい?
遺言執行者は、必ず選ばなければならないものではなく、選ぶ場合でも未成年者や破産者でなければ、誰を選んでも法律的には問題ありません。
しかし、多忙な方や高齢・病気がちの方などを選ぶと手続が滞ったり、相続人のなかから選ぶと他の相続人と揉めてしまう恐れがあります。
もし適任の方が見つからない場合は、相続の専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)を選ぶことをおすすめします。専門家であれば、第三者の立場から相続人の間を調整しながら、スムーズに手続を進めることができるでしょう。
遺言執行者はどんなことをする?
STEP1 相続人の調査・確定
遺言者が亡くなった後、遺言執行者を正式に引き受けることになったら、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本などを収集し、誰が相続人になるのかを調べて、確定させます。
STEP2 就任通知書・遺言書の写しの送付
相続人が確定したら、遺言執行者通知書と遺言書の写しを相続人と受遺者(遺贈を受ける人)全員に送付します。
STEP3 相続財産の調査
被相続人が遺したプラスの財産(預貯金、現金、不動産など)とマイナスの財産(借金や売掛金など)を漏れがないように調べます。
STEP4 財産目録の作成・送付
すべての相続財産が分かったら、財産目録を作成し、相続人全員に送付します。遺産の引き渡し 遺言の内容どおりに相続人・受遺者に遺産を引き渡します。預貯金・株式・自動車の解約・名義変更の手続や、不動産の相続登記の手続も行います。
STEP5 終了報告
遺言の内容をすべて実行したら、相続人と受遺者全員に書面で終了報告を行います。
遺言執行者はいったん就任すると、簡単には辞められません。辞任は正当な理由がある場合に限られ、家庭裁判所の許可が必要です。
遺言執行者の職務に含まれないものは?
遺言執行者に上記のことをお願いしたい場合は、遺言書とあわせて、死後事務委任契約を作成し、その委任者になってもらうことををおすすめします。
まとめ
遺言執行者は、必ず決めておかなければならないものではありません。しかし、相続はさまざまな手続を必要とし、期限があるものもあります。
スムーズに遺言執行ができるか不安な場合や、相続人以外の人・団体に遺産を譲りたい場合は、遺言執行者となる方を選んでおき、その方に引き受けてもらえないか打診することをおすすめします。
遺言書について疑問や不安がありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^