遺贈とは?
亡くなった後の財産の行方について、特にお世話になったや福祉団体などに遺産を譲りたいと考えておられる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、相続人以外の人や団体に遺産を贈る「遺贈」についてご一緒に見ていきましょう。
遺贈とは?
遺贈とは、遺言で意思表示することによって、亡くなった後に相続人以外の人・団体に遺産の全部または一部を贈ることです。
どんなときに必要?
事実婚や同性カップル
例えば、事実婚や同性カップル(養子縁組をしている場合を除く)の場合、おたがいに相続人になれません。そのため、おたがいにお金を出し合った共同財産(自宅や生活費の引き落とし口座など)であっても、その名義の相続人に引き継がれてしまいます。
確実にパートナーに財産を引き継ぐには、遺言書を作り、そのなかで「遺贈する」意思表示をしなければなりません。
配偶者居住権
のこされた配偶者が自宅に住み続ける権利を遺贈で与えることができます。これを配偶者居住権といいます。
ただし、事実婚・同性カップルのパートナーには、配偶者居住権は認められていません。
このほかにも、子の配偶者、相続人ではない孫、亡くなった後にペットを引き継いでもらう人、特にお世話になっている人、福祉団体などに遺産を贈りたい、亡くなった後に寄付をしたいときに遺贈が利用されます。
遺贈と贈与との違いは?
遺贈は、遺産を贈られる人(受遺者)の意思に関係なく、遺産を贈る人(遺贈者)の一方的な意思表示で遺産を贈ることができます。
そのため、遺産を贈られる人に断われる可能性もあります。実際に財産の所有権が移るのは、財産を贈る人が亡くなった後です。
一方、贈与は、財産を贈る人(贈与者)と贈られる人(受贈者)との間に「あげます」「はい、もらいます」という合意が必要です。実際に財産の所有権が移るのは、財産を贈る人が健在のうちでも(生前贈与)、亡くなった後でも(死因贈与)どちらかを選べます。
遺産の贈り方は?
特定遺贈
特定遺贈とは、「○○に所在する不動産」「○○銀行○○支店の口座の貯金」などのように、贈る財産を具体的に指定する方法です。
包括遺贈
包括遺贈とは、「財産の全部」や「財産の半分」「財産の何%」などのように、贈る財産を割合などで指定する方法です。
包括遺贈の場合は、プラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も、受遺者に継承させることになるため、注意が必要です。
条件をつけて遺贈することはできる?
例えば、自分の死後に「ペットのお世話をしてほしい」「老親の面倒をみてほしい」などの条件の見返りとして遺贈をすることができます。これを負担付遺贈といいます。
遺贈をするときのポイントは?
特定遺贈か全部包括遺贈にする
遺贈をするときは、「○○に所在する不動産」「○○銀行○○支店の口座の貯金」などのように遺贈する財産を具体的に指定する「特定遺贈」か、全財産を遺贈する「全部包括遺贈」を選ぶことをおすすめします。
「財産の半分」「財産の何%」などのような、贈る財産を割合などで指定する「一部包括遺贈」は、他の相続人と揉める可能性が高くなります。
付言事項を書く
付言事項とは、遺言を読んだ人に贈るメッセージです。
遺言で第三者に遺贈することを書いた場合、それを読んだ遺族のなかには「なぜ遺族以外の人に財産をあげるのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。
付言事項には法的効力はありませんが、遺贈する理由、感謝の気持ち、後事を託すメッセージなどを記しておくと、自分の想いが遺族に伝わり、トラブルを防ぐ効果が期待できます。
まとめ
相続人以外の人・団体にも遺言書を作っておくことで、遺産を贈ることができます。また、のこされた配偶者に自宅に住み続ける権利を与えるときにも遺贈の制度が利用されます。
遺言書の作成について疑問や不安がありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^