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令和元年高松旅行記 #1

「災害が少なくてほんまに暮らしやすいで」
現地の人の言葉通り、台風19号が日本を通る中とっても平和に終わった香川旅行。
ただし、合流するはずだった友達は台風と酒(?)に阻まれたので一人旅。
復路の便は欠航になり、延泊。
それくらいのハプニングで終わった二泊三日の備忘録です。
(美術鑑賞と飲食メイン)

1日目

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着いたのは、風がちょっと強いかな?くらいの朝の高松。東京は寒かったのに、じりじり暑い。
この時はまだ、翌日のメインイベントが台風で中止になるかもと半分以上諦めていた。
とはいえ、中止になっても楽しい旅行だったと思いたい。
天気が荒れる前に行けるとこ行かなきゃと、うどんちゅるチルもそこそこに豊島への船に急ぐ。
ブボボと震えるエンジン音。直島経由。
大学のゼミ旅行懐かしいなあ。

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その昔美大生だったわりに齢27で初体験となったアートの島・豊島は、コスモスがわしわしと元気に咲いていて文句無しの「お暇感」だった。
瀬戸内芸術祭真っ最中なので混んでいるかと思いきや、バスのおじちゃん曰くいつもの6割くらいらしい。台風だもんね。
さて、豊島美術館。
最高だと言う人もいれば僕は嫌いだと言う人もいたなあと思い返すけど、とにもかくにもこの世界に存在し続けてほしいと思った。
作ってくれた先人にしんみり感謝しながら、周りの人を真似して横たわる。
数十分後、気づいたら例の仕掛けで後頭部がびしょびしょになっていた。気づかずすみません。これから行く人はお気をつけて。

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ボルタンスキーのささやきの森まで、かなり遠く感じた。はあひい、こんなに歩いてるんだからアイス食べてもいいよね。
ああなんて真っ当なカロリー摂取。

途中で「イノシシ注意!」の看板が現れる。
今会ったら確実に負ける(いつ会っても勝てないのに、こういうときはそういうことを棚に上げる)。
来るなよ、いますからね、と念を込めて唸っていたら曲がり角から人が来た。安心してください、人間です。

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ささやきの森は表参道のESPACE L.V.での映像展示を先に見てたけど、目の前で見る「誰かが書いたその人の大事な人の名前」の質量の重いこと。
自分なら誰を書くかみんな考えると思うけど、それも相まって重い。ついでに歩き疲れた足も新しいのと交換したいくらい重い。
透明な短冊と鈴の音の軽やかさでバランスがとれてるなと思う。わたしは登録しなかったけど、作者が言うように神話的に続いていくと面白いな。

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高松へ戻ってから、イサムノグチ始めいろんな人(忘れた)が通っていたという喫茶店・城の眼へ。佇まいが強い。営んでいるのは可愛いおばあちゃんだけど外観はさながら頑固じじい。
そこまで期待せず頼んだ「自家製ケーキ」がラムレーズンのバターチーズケーキときまして、ハイカラだなあ。まったりしてるのに余計な後味がなくて美味しい。珈琲はちょっと薄め。
ここのおばあちゃんも、店内のテレビに台風えらいすごいなあーとは言うものの、まあ大丈夫やろの姿勢。ここらへんで私も段々大丈夫な気がしてくる。
入り口にかかってる謎の網は、開放したドアとの関係性がいい感じですね。

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翌日の復路便が欠航になる報せが届く。
そうですよね。とりあえず翌々日に振り替えて、明日の宿はどうしよう、24hのスーパー銭湯でもいいかもなあと考えながら歩いていたら、茶色い商店街に「PayPay使えます」ののぼりがちらほら見える。店員もお客さんも使わなそうな帽子屋とか八百屋とか、やたらレトロな店頭にあるけど……実は使うのか……?
他にも良い味の店、良い文字の看板が多すぎて、目を奪われるうちに翌日の宿のことは忘れた。
私の推しは「肉のモリヤマ」の「肉」。身と骨みたいで良いと思います。

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夜になったので一軒目は(ながら)へ。
ピクルスは酸味が優しくて、桃モッツアレラに添えられたトマトはじゅわわと甘かった。
現地の人と飲みたくなって、マッチングアプリでさがしてみる。会うことになった人が連れてってくれたのは、行きたいけど一人じゃなあと迷っていたバーだった。気が合いますね。

バー界では世界一長いらしい扉を開ける。
暗いあかりに石の壁がほうと照らされて、ナッツの燻製はガラスの蓋の中に燻煙を携えたまま運ばれてきた。
目の前で白いベールが解放されたときの、視覚で嗅いだときめきよ。。
生ハムに巻かれた一口サイズのクロワッサン(お通し)とも相性が良すぎて、無限ポリポリのゴングが鳴った。
フルーツ系のカクテル、クラフトジン、キラキラの液体がどんどん来ては消えていった。

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優しくて恰幅のいいお兄さんとお互いの身の上話に花を咲かせて、解散。
過不足のない宿に歩いて帰る。
明日警報が出ないことを祈りながら、1日目が終わる。

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