【ネタバレ・感想】キャラクター同士の対比が美しい映画「アラジン」
先日とうとう「アラジン」観てきちゃいました!
エモエモでした!!纏めます!!(ボキャ貧)
♢概要
公開年:2019
監督:ガイ・リッチー
俳優:メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミス、マーワン・ケンザリ
♢あらすじ
天涯孤独な心清い青年・アラジンは相棒のサル・アブーと共に日々の暮らしのためにすりを繰り返す「ドブネズミ」
しかし彼はいつか見かけや身分ではなく、彼の中身で評価されたい、この境地から抜け出したいと考えていた。
王女・ジャスミンは婚約者が多く訪れる、スルタンの美しい一人娘。
彼女は王宮から一歩も出ることなく、王女という身分に囚われていた。
しかし、「自分以上に民を思っている者はいない」という気持ちから、女の身でスルタンになりたいと願っていた。
ジャファーはTOPでは無ければ意味がないと考える野心家。
彼は王国・アグラバーを手に入れる「魔の洞窟」に眠るランプを手に入れようと、洞窟に入れる唯一の存在「ダイヤの原石」を探し求めていた。
ジーニーは主人のの3つの願いを叶える、彼は最強の力を持つランプの魔人。
たった1つの望みを持ちながら、1千年もの間、ランプの中で眠り続けていた…。
アラジンがお忍び中のジャスミンと出会った時、アグラバーは大きな変化を迎えることになる…。
♢ 感想
【問題の訂正で上がる魅力】
まずアニメで、問題になっていたポリティカル・コレクトネスが是正されているのが良いですね!
「ポカホンタス」はじめ、大学の授業で扱われてしまう程の大問題だったりします。(実話)
【主な反論】
・アラブの女性はジャスミンみたいな露出はしないし、あんな服は着ない。
・アラジンもお腹は出すほどの人間じゃない。(=奴隷じゃない)
・「アラビアン・ナイト」の歌詞が偏見に満ちている。
…などなど。
本作におけるアグラバーのモデルはトルコ・イラク・インドが混じっているそうですが、そのおかげでジャスミンの服装が原作を維持しつつ、固有の文化を大切にしたものへと進化しちゃいました!!
アラジンも奴隷ではないので、お腹周りを露出するのはおかしいですし。
更に文化を混ぜることで、架空の都・アグラバーを見事に演出したと思います。
更にアラビアン・ナイトで「it's barbaric」などの偏見に満ちた歌詞を「it's chaotic」などと元の色は残しながら微調整。
起用した俳優陣も殆どがアラブ・アフリカ・アジア系。
ヨルダン王立映画協会の協力もあってか、とてもリアルな”異国情緒”が漂います。
「シンデレラ」ほどリアルさはなく、「マレフィセント」ほど原型を留めていないわけでもなく。
最高ですね。
”ガイ・リッチー版ディズニーの「アラジン」”としてこれ以上の解答はないと思います。
【魅かれずにはいられないキャラに進化したジャファー】
今回1,2を争う程株を挙げたのは問答無用でジャファーでしょう。
アニメでは不明瞭だった「ヴィランはなぜあのような野望を抱くのか」問題が見事に解決されています。
ジャスミンの母の国・シラバードの地下牢に囚われた記憶。
元はアラジンと同じスリだった過去。
次第に「1番でなければ意味がない」「目的のためならば平気で人を殺す」そんな存在へとなってしまったジャファー。
アラジンと似た境遇を過去に持ちながら、目的のためならば手段を選ばない様が、見事に「ダイヤの原石」からダイヤに進化したアラジンと対極な存在に映り、思わず魅かれてしまいます。
アラジン自身も3度目の願いをジーニーのために使わないという選択をした場合、ジャファーと同じ存在になっていたのかもしれませんね。
また、ジャファーの自分本位なところは、同じ支配層に属するものの純粋に民のことを思うジャスミンとも対極な様子。
さりとてジャスミン自身も頭でっかちな支配階級の女性な点で、貧困層かつ日々スリリングな体験しかないアラジンとは対極。
3人が3人とも、対極な存在なのがまた良いですね。
【忘れちゃいけないジーニーとダリア】
変わらないテンションの高さ、ジーニー。
予告編から分ってたけど、ウザ…げふんげふん、疲れる位のテンションの高さはさすがの一言。
メナ・マスード演じるアラジンの置いて行かれている様子は観客と重なりますね。
彼の持つ「自由になりたい」という願いが、追加シーンによりますます切実になったと思います。
そりゃアニメにもあったアラジンの態度にも怒り、悲しみますわ。
…とはいえ、まさかウィル・スミスの女装が来るとはぶっちゃけ思っていませんでした、マジか。
ランプには入らない代わりに、小っちゃくなったり女装はするんだ…。
本作オリジナルのキャラクター・ダリアも良い味を出しています。
居なくても良いけれど、居ることでジャスミンやジーニーの味が上がる。
他の映画だとオリジナルキャラクターが無駄に出しゃばったり…なんてありますが、今作ではそんなことはないです。
あの絶妙な存在感がたまらないです。
実はアニメの時に、ジーニーの「1千年も洞窟の中に居れば頭が冷える(うろ覚え)」なんてセリフにもしや…?なんて思っていたんですが、ジーニーの「自由になりたい」「人間になりたい」発言、そしてアラジンに「君の自由を願うよ、ジーニー」発言で、人間になったジーニー先輩。
ひょっとしてかつて人間で、ジャファー的な失敗してた口では…?と思ったのは私だけではないはずです。
ひょっとしたら、アラジン・ジャスミン・ジャファーのトライアングルではなく、そこにジーニーも加えてもいいのかもしれませんね。
【今後に期待:メナ・マスード】
ダンスや歌と言えば、Greatest Showmanでも話題を集めたヒュー・ジャックマンやマイケル・ジャクソンも才能を認めたザック・エフロンらが思い浮かぶでしょう。
いや、それらの名前にもメナ・マスードも加えようぜ。
実は私はダンスには一家言あります。
なぜか。
一応中高でダンス部副部長をしていたからです。
そしてダンスとは普通ダンサーの癖が出ます。
自分のジャンルとか皆持ってますから、違うジャンルをマスターしてもそれに引きずられがちです。
なのに、なのに!
Friend Like Meで見せた彼の踊りっぷりには脱帽の一言ですね。
個性がないだけでなく、操られているような錯覚を与えるあの演技。
ウィル・スミス演じるジーニーの指の動きこそが本物なのではないかと錯覚させるあのシーンこそ、One Jump Aheadより評価されてほしいですね。
One Jump Aheadのスタント9割本人というのに引っ張られがちですが、いや~~~こっち推しですね。
【残念…!】
強いていうならですが、アブー、イアーゴ、そしてスルタンのキャラが弱くなったのが残念ですね。
ただまあ、アニメでは彼らはコミカル担当だったり、強いキャラ出したがためにストーリーがうーん…となってしまったところも無きにしも非ずなので、順当…?
彼等は犠牲になったのだ…メイントリオのキャラをより魅力的にさせるためのな。
ってところなんでしょうか。
正直、アニメ3部作は1作目で終わっても良かったんじゃないかな、と思ってる人間です、私は。
アルジャス夫婦も本作では結婚してますし、「ジャファーの逆襲」に繋がるのは不明瞭です。
ただ…実写化でも3部作構成だったら、特にイアーゴとスルタンはキーキャラクターなので、キャラ改変とか弱い印象は致命的だと…思うんですよね…
最近のディズニーは続編作ってこけることが多いので、そこらへんとても心配です。