NHK番組発掘プロジェクトは今後どうすべきか
はじめに
NHKアーカイブスに現存していない番組のテープを、視聴者や関係者から収集し、保存していく「NHK番組発掘プロジェクト」について、今後どうするべきか、考えてみようと思う。
現状
NHK番組発掘プロジェクトのスタッフの人数は10人ほどしかおらず、少ない予算の中で活動しているとのこと。
選挙の時期に入ると、スタッフは手伝いに行かなければならないため、番組発掘プロジェクトとしての活動はかなり縮小される。
ネットで違法にアップロードされている動画に対しては、削除要請しか対応できないのが、(著作権法上致し方がないとはいえ)残念ではある。
また、受信料支払いはNHKからの義務であるのに対し、ビデオ提供は義務づけされておらず、視聴者のご厚意でしか成り立っていないのが現実である。
NHK番組発掘プロジェクトの活動の成果は、関東ローカル(←ココ重要)の「ひるまえほっと」で紹介されたり、一部の番組が、番組公開ライブラリーで公開される程度である。
そこで、どう改善していくべきか
まず、NHK側がとるべき改善点を挙げて行こうと思う。
各世帯に対し、VHS・ベータなどの磁気系ビデオメディア全てを、NHKに提供することを義務付けたほうが良いだろう。
DVDの場合は、NHKが作成した録画番組リストに番組名を記載し、必ずNHKに申告するよう義務付けたほうが良いだろう。虚偽の申告をした場合は、何らかの罰則を科すことも検討すべきだろう。
また、全国各地のNHKに、ビデオ提供受付窓口を設置する。
次に挙げる点として、ネットにアップされている違法動画にNHK未保存映像が含まれている場合、NHKは動画投稿者に対し、ビデオ提供命令を出せるようにすることだろう。
現在、活動がかなり制限されているNHK発掘プロジェクトに対し、ビデオコレクター及び動画投稿者は嘲笑している現状。番組発掘プロジェクトは、上層部に活動範囲の拡大を要求できないのだろうか。
NHK未保存映像ゼロを目指して
改善すべきはNHKだけではない。ビデオの所有者および視聴者の考えも改めるべきだろう。
NHKの映像収集活動に対し、「DVDで商品化して金儲けするための活動」と、誤解している方が多くいるのが現状である。
また、「ビデオを残さなかったNHKが悪い」といった意見があるが、これも大きな誤解である。ビデオテープが高価で残さなかったことはもちろん、著作権法の第44条3によると、放送局は放送から半年を超えたら消去しなければならない決まりがあり、政府が定めた公的記録保存施設でしか番組を残すことが出来なかったそうです(←この法律は現在も残っている)。NHKの場合、埼玉県川口市のSKIPシティが「政府が定めた公的記録保存施設」となっている。
「提供されたビデオは必ずしも全て公開される訳では無いから協力はしたくない」という意見もあるが、ビデオを提供せず、自宅に保管したままだと、災害が起きた際にビデオは失われてしまう可能性がある。一方、NHKは耐震構造で災害に強いため、永久にビデオを残すことが出来る。
とにかく、映像が公開されようがされまいが、とりあえず「残すこと」が第一である。映像を残してこそ、公開が実現できるのである。
あと、ビデオ所有者の中には、「高い機材を買って録画したのに、それを無償で提供することはしたくない」といった考えを持つ人がいる。NHKは次世代に受け継ぐためにビデオ収集を呼びかけているにも対し、こうしたワガママで頑固な考えを持っていては、番組の発掘を楽しみにしているほかの視聴者が悲しむだろう。謝礼や懸賞金よりも、次世代のことを第一に考えるべきである。
こうした考えを持つ人が沢山いるから、違法アップロードが未だに減らないわけだ。NHKが積極的に活動し、視聴者が協力すれば、NHK未保存番組をゼロにしていくことができるだろう。そして、合法で視聴できる過去の番組が、今後たくさん増えるだろう。
おわりに
2009年に大河ドラマ「草燃える」のビデオ提供を呼びかけはじめてから12年を経過している。2013年に「NHK番組発掘プロジェクト」を正式に発足し、規模をある程度拡大したものの、活動ペースは依然変化はない。
本当にこれで良いのだろうか。NHK番組発掘プロジェクトチームは、もっと危機感を抱くべきではないだろうか。
前回の記事に書いてある内容と同じことを、ここでもいくつか書いてしまったが、要するにNHKが目指すべき目標は、未保存番組をゼロにすることだろう。
この記事を読んでくださった皆様も、何か指摘点などがありましたら、コメント欄に書きこんでいただけると幸いです。私は必ず拝読いたします。
今回はこの辺で失礼いたしました。