値上げしないで、勝手につぶれていく人たち

昨日、知人の店でランチを食べた。
経営者は60代後半、店長は50ぐらい。
スタッフは20~40代。

私はこの店には以前から文句がある。
料理は真面目だし、接客もよい。
そして価格が安い。
そして赤字なのである。
経営を改善するためには、適切に値上げすべきだと何度も伝えてきた。
どうせ今赤字なんだから客が減ったってよいじゃないか。
何を守っているのだと。
値上げについては、経営者が頑として首を縦にふらないらしい。

帰り際に、10年以上働いていた美人のパートさんから伝えられた。
「私、今月で辞めるんです。今までどうもありがとうございました。」
私は複雑な気持ちで店を出た。

輸入品が、エネルギーが、人件費がすでに上昇している。
これから借り入れ利息もあがるだろう。
なんで、こうも日本の経営者は値上げを渋るのだろう。
値上げすれば、一時的に客が離れるのが怖いとはいう。
しかしながら、どうせ今赤字ならそれで社員が少しラクできる。
その時間で何か新しい展開ができるではないか。

ガソリンスタンドにきて、ガソリンが高いと給油をせずに帰る人は少ない。
飲食店だって同じだ。
一回は、高いと思っても食事してくれる人がほとんどなはずだ。
そのタイミングで勝負をかけるしかない。
もうどうしようもない。
マクロ経済でみれば、今をしのげばまた物価が安くなるということはもう起きないのだ。

実は私の仕事も、値上げしている。
それで離れていくお客さんもいるし、取引量が減ることもある。
しかし会社はなんとか運営できている。
いまはそういう環境だ。

値上げせず勝手につぶれていく人たちがいる。
それで今日のお客さんには喜ばれているのかもしれない。
しかしそれで赤字なら、社員にも株主にも恨まれるだろうに。

コロナ前の時点で、日本の中小企業の7割が赤字だといわれていた。
今はどうなっているのだろうね。

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