![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93451855/rectangle_large_type_2_9b66c4f4cca3a3ca9a3378175fb4e25e.jpeg?width=1200)
動きが柔らかい人は、何がちがうのか
伝説とも言われるバレリーナ、マイヤ・プリセツカヤ。
私はテレビで見ただけですが、その動きの柔らかさがあまりに印象的でした。ちなみにその映像。
肩、肘、手首などの関節の屈伸だけでなく、内外旋(ねじり)まで使って腕を波打たせ、柔らかさを演出しています。
動きの柔らかさは、同時に動かすことのできる関節の数で決まります。
肩、肘、手首、指に至るまで、彼女の頭の中でどれだけの情報処理がされているかと思うと呆然としますね。
美しさと関係ない感想で申し訳ありませんが。
・動きの柔らかさは操作の能力
私たちの手足は、関節を中心とした扇形に動きます。
直線的、あるいは扇形以外の曲線の動きは、すべて扇形の動きを複数組み合わせたもの。したがって関節の数が多いほど、より柔らかくなめらかな動きができることになります。
たとえば人形劇の人形は、どうやってもぎこちない動きしかできませんね。関節が少なく、また操作するための糸や棒の数が限界になるからです。
それを解決しようとしたのが文楽の人形で、一体を3人がかりで動かし、細かな情感を表現しています。
(その代わり登場人物の数を増やせません。文楽の演目に「忠臣蔵」があっても、討ち入りシーンがないのはそのせい。もしやったら舞台が演者でいっぱいになる)
![](https://assets.st-note.com/img/1671194582648-c1riHoaEFe.png)
しかし関節の数なら、どの人も同じはず。それならなぜ、動きの固い人や柔らかい人がいるのでしょうか?
実は、同時に操作できる関節の数は、人によって違うのです。
・私たちは計算しながら動く
マイヤが腕を波打つように動かす時、肩の動きに少し遅れるように肘を動かし、肘に遅れるように手先を動かすという操作をしていますね。
マイヤには及びませんが、
「肩を上げながら腕を下げ、肩を下げながら腕を上げる」
動きを試してみてください。たった二箇所の関節ですが、思った以上に難しいと感じませんか?
私たちは、動きを計算しながら動くからです。
たとえば腕を動かすときには、肩を基準に腕をどの方向へどれだけ動かすかを判断して動きます。
しかし腕の土台となる肩が動いていると、腕を動かすにも「肩の動き+腕の動き」を計算しなければ、必要な方向・大きさがわかりません。それで途中で止まったりカクカクと動いたり(動く・止まるの繰り返し)してしまうのです。
・複数の関節を使うには
もちろん、走る時に膝関節と股関節が連動するとか、自然に使い慣れた動きでは大丈夫。しかしそれ以外の場合、とくに先ほどの肩と手を逆に動かすような特殊な動きでは、位置感覚を見失わず動き続けられるような訓練が必要です。
操作の数が多い場合は、いくつもの動きをひとまとめにして捉えられるようなイメージを使うこともあります。
合気道などでいう円の動きも、単に回るということではなく、いくつかの動きを並行して行うときの補助イメージではないかと考えているのですが、どうでしょうか?
ハイレベルの柔らかい動きができる人は、意識的な訓練によって、いくつもの関節を同時に使えるようになった人。
動きの柔らかさは、訓練次第で伸ばせる領域なのです。