![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94088295/rectangle_large_type_2_219e7194409c4958c701d525c1e3be76.png?width=1200)
身体はバランスを優先してしまう ~ 情報システムとしての人体②
こんな遊びをしたことはありませんか?
壁に右肩をつけて立ちます。このとき、右足の側面も壁につけておくのがポイント。この状態から、左足を上げてみて下さい。
「上げられない」という方、けっこういます。
上げられた方も、少し戸惑ったのではないでしょうか?
・バランス感覚が行動を制限する
意志では、左足を上げようとしていますが、本能はブレーキをかけます。左足を上げると身体が傾くことを知っているので、まず体重を右足に移そうとし、それができないので止まってしまうのです。
運動する時、バランスを保つことの優先順位はかなり高くて、他の行動を制限してでも、バランスを取ろうとします。
こういった例は多くて、座っている人の額を指で押すだけで立ち上がれなかったりといった遊びでも多いですね。
・わずかな動作でもバランス準備がある
手を上げたり、振り向いたりといった簡単な動きでも、わずかながらバランスは崩れますが、身体はそうした動きにも反応しています。
ここで働くのが前回書いた予測で、どのくらいの力がどの方向に働くかを予想して準備をします。
スポーツ、武術では、慣れた人は相手のバランスをとる動作(予備動作)を読み取って、次の手を予想します。
もっと上手くなると、そのバランス動作を外すように持っていくことで、簡単に投げたりもします。できる人はそんなにいませんけど。
ちなみに、CGのキャラクターが踊るのを観て、なんとなく違和感を感じることがあるのは、このバランスをとる予備動作が無いからですね。重心が動かずにいきなり手足が動くと、不自然さを感じてしまうのです。
・「浮身」とは
古武術には浮身という言葉があります。読んで字のごとく、身体を浮かせることですが、重力に反して浮かび上がるわけではありません。バランスをとる動作の時、一番大きいのが地面に足を踏ん張ることなので、それを消そうということ。
例えば何かを押そうとするとき、当然、足を後ろに踏ん張りますね。剣を振ったり、パンチを出すときも、地面の力を借りて威力を出すわけです。
しかし地面から足、体幹、手と、力のルートを作るのは時間がかかりますし、動作の急な変更も難しいです。
地面を蹴るかわりに体幹や手足を使って必要なバランスをとれば、地面の助けを借りなくても動くことができますね。よろけた人が手足を振って「おっとっと!」とする動作を洗練させたものだと思っていいです。
地面の助けを借りず、切り離された状態なので「浮身」。
単なる重さのバランスだけでなく、モーメント(回転力)とか加速度の操作で、あまり目立たずにバランスを取れるようになると、できることの幅が広がります。
具体的には、倒れにくくなる。というかバランスを崩した時に、倒れるのを遅らせて判断の時間を作れる感じ。あとは力のルートがいらない分だけ手足の動作がちょっと早くなった気が(当社比)。
使える人はもっと使えるのでしょうけれども。
八起堂治療院ホームページ https://www.hakkidou.jp/