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「心の若さ」と「若い時の心」は別ものだよね

「青春とは心の若さである。 希望と信念にあふれ勇気に満ちて、 日に新たな活動を続ける限り 青春は永遠にその人のものである。」

松下幸之助

パナソニック創業者、松下幸之助氏が自ら作り、座右の銘にしていた言葉だそうです。

素晴らしい言葉に感銘を受け、私も心の若さを失うまいと決意。
決意してからちょっと考える。

若いときって別に希望にも信念にもあふれてなかったし勇気も満ちてなかったよなあ…?

・「心の若さ」と「若い時の心」は別もの

実際、若いときの心を振り返ると、中二病だったり、屈折してたり、斜に構えてるほうがエライと思ってたりしました。
情熱があると思ったら、単に視界が狭くて猪突猛進してるだけ。
卑屈さ故、人の善意や好意にも気が付かずスルーしていたり。
(こういうの、私だけじゃないよね?)

けっこう年令を重ねてからのほうが希望がはっきりしてきたし、信念も肩混てくる。失敗の経験を積んでいるからこそ、勇気も出せたり。

・松下幸之助氏の若い時代

松下氏自身、若い頃は病弱だったために苦労の連続。希望や信念どころではなく、生きることに手一杯だったはずです。
だとしたら「心の若さ」は「若い時の心でいよう」という意味ではない。

おそらく、大事なのは後半の「日に新たな活動を続ける限り」
元になっているのは中国古典「大学」の「日に新たに、日々新たに、また日に新たなり」。
毎日成長しつづける新鮮な気持ちを、若さと呼んだのでしょう。

そういう気持ちを持つことができるのは、むしろ経験を積んで、周りが見えるようになってきた頃。考えようによっては、歳をとってからのほうが、心の若さを得られるのかもしれません。

・ちなみに元ネタは

松下氏がこの言葉を作るに当たって、元にしたと言われているのが、サミュエル・ウルマンの下の詩。
これも名作なので、下に引用して結びとします。

 青春とは人生のある期間ではなく心の持ち方を云う。
 薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
 たくましい意志、ゆたかな想像力、燃える情熱をさす。
 青春とは人生の深い泉の清新さをいう。
 青春とは臆病さを退ける勇気、
 安きにつく気持を振り捨てる冒険心を意味する。
 ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
 年を重ねただけで人は老いない理想を失うとき初めて老いる。
 歳月は皮膚にしわを増すが、熱情は失えば心はしぼむ。
 苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い精神は芥にある。
 60歳であろうと16歳であろうと人の胸には、驚異に惹かれる心、
 おさなごのような未知への探求心、人生への興味の歓喜がある。
 君にも吾にも見えざる駅逓が心にある。
 人から神から美・希望・喜び・勇気・力の霊感をうける限り君は若い。
 霊感が絶え、精神が皮肉の雪に覆われ悲嘆の氷に閉ざされるとき、
 20歳であろうと人は老いる。頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、
 80歳であろうと人は青春にして已む。    
        ──サミュエル・ウルマン

作山宗久氏 訳


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