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happy birthday,Mr.Kitakata
北方謙三先生。
お誕生日、おめでとうございます。
心よりお祝い申し上げます。
今年で72歳とのことですが、今なお水滸伝を連載されていた時と全くおかわり無く、チンギス紀を連載されているお姿に、日々感じ入っております。
北方先生と私が初めてお会いしたのは、確か高校生の頃、都内の書店で開催された、水滸伝のサイン会の時だったと記憶しています。
ただ、その時のことは、サイン会に行った、という記憶しか無く、何を話したかなどは全く覚えておりません。
サイン会のたびに、毎回拙いお手紙を直接お渡しするのも緊張していた高校生に、「手紙はすべて取ってあるよ」とおっしゃってくださいましたよね。
その時の、照れくささと喜び。
北方先生と握手をするたびに、力強くも柔らかい、理想の男の手をされているな、と毎度のことながら実感していました。
その時の高校生は、今や三十路に突入し、日々過ごしています。
そう考えると、北方先生とはもう10年以上のお付き合いになるのですね。
私の高校生から20代の読書は、ずっと北方先生の作品と共にありました。
今や北方先生の作品は、私自身の血肉となっております。
そして自分が、落ち込んだ時、不安な時、荒れている時。
自然と北方先生の作品を手に取り、ある時は「水滸伝」の晁蓋や秦明に叱咤され、またある時は「ブラディ・ドール」の川中や坂井に殴られたり、またある時は「杖下に死す」「独り群せず」の光武利之や大塩格之助、内山彦次郎に諭されたり、何度となく北方先生の作品に救われたことでしょうか。
私の心の中に、何人も何人も、北方先生の登場人物が生きています。
そして、彼らを背後で束ねているのは、当然ですが北方先生です。
私の心の北方先生が不意に現れて、自分の所業を叱ったり、葉巻を吸いながら肩をたたいたりしてくださることも、多々ありました。
そういえば、ブラディ・ドールを読み始めてから、私もカクテルを作り始めるようになりました。
ソーダとトニックのハーフ・アンド・ハーフのジントニックなら作れるようになり、シェイクしたドライ・マティーニはまだ作る資格が無いので、ステアしたドライ・マティーニの練習中です。
ですが、良いことがあったときだけは、「シェイクしたドライ・マティーニ」をお願いできる行きつけのお店も出来ました。
ただ、「ゴードンだけがジン」だと思っていたのですが、色々あってめっきりアルコール度数が下がってしまったのですね。あまり美味しくなかったです。
ソーダとトニックのハーフ・アンド・ハーフも、このご時世、「ジン・ソニック」と呼ぶようになったそうですし、川中も時代の変化に翻弄されていそうです。
もっとも、どれだけ時代が変わったとしても、北方先生の作品から私が得たことも、そして、これから北方先生の作品を読まれる読者の方が得られることも、きっとあらゆる人にとって、変わることのない大切なものであり続けることでしょう。
男は10年だ。
と北方先生はおっしゃられましたが、その意味が少しずつ、私にも分かる、という気がしてきました。
北方先生と私の間でもたくさんの大切な思い出がありますよね。
それは生涯の支えとなり続ける、誇らしい思い出です。
また、必ず会いましょう。
北方先生に「シェイクしたドライ・マティーニ」を振る舞える資格のある男になるべく、私も精進いたします。
改めまして、お誕生日、誠におめでとうございます。
ご自愛いただき、末永くご多幸でご健康に、そして良きご縁に恵まれますよう、お祈り申し上げます。
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