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感謝と生命

皆さんはこんな経験がないだろうか。

「今までひっそりと応援していたものが、有名になって嬉しい反面、少しだけ寂しくなった経験」が。

私にとって、高橋博之さんの歩みはまさにそれであった。

Who is 高橋博之さん?

高橋博之さんをご存じない方に、簡単にプロフィールをまとめさせていただくと、

食べる通信」という、生産者と消費者を直接つなげる食べ物付き情報誌を発刊。生産者の思いや熱意を真正面から取り上げた冊子で、おまけに生産者の野菜や魚がついてくる。その取組は東北から始まったが、今や日本全国のみならず、アジアまで広がり、その数にして41通信。
ポケットマルシェ」という、食べる通信のテーマである、生産者と消費者を直接つなぐ、通販アプリのCEO。このアプリの素晴らしいところは、ただ野菜や魚を買うだけでなく、作った料理をアップしたり、生産者の方に直接「ごちそうさまでした」「美味しかったです」を伝えることができるのだ。
その取組に関する書籍を執筆
参加者全員が車座になり、高橋さんがとにかくしゃべくりたおしたあとに、皆で自己紹介し、飲み会になだれ込む、「車座座談会」を687回実施!

等々、他にもこれでもかと語られるエピソードがあるのだが、その点は書籍をご購入いただければ幸いである。

これだ。ほんとうに、これだ。

今回は、昨日の車座座談会の話がメインなのだが、その前に、私と高橋さんの出会いの話をさせていただきたい。

あれは、前職に務め始めてからのこと。

めっちゃ溜まってた。

もともと、卒業論文・修士論文で、「水産エコラベル制度」という、早い話がエコマークの魚版の研究を真面目に取り組んだ経緯があったのだが、知れば知るほど現実とのギャップに悩んでいた。

というのも、水産エコラベルの認知度も低いし、取ることによって価格が上がることもないし、早い話が現状日本では取得するメリットがなかったからだ。

なんとかしたかったが、どうすることもできん…

そう思って勤務時間中に、ネットサーフィンをしていたところ、なぜだったか分からないが、つながってしまったのだ。

東北食べる通信のHPに

そして見てしまったのだ。

高橋さんの本気のTEDを

鳥肌が立った

更に詳しく調べたところ、慶應大学で車座座談会という企画が、翌日にあるらしい。

吸い込まれるかのように、応募していた。

そのころは、まだポケットマルシェも始まっておらず、食べる通信という取り組みを広げるために尽力されていた頃だったのだろう。

話を聞いて、さらに驚いた。

一次産業はこうであるべきだ、という自分の思いや考えを、ものの見事に言語化してくださったのだから。

これだ。ほんとうにこれだ。

例えるならば、路上ライブ(と例えると失礼だろうか…)に本気で惚れ、足繁く車座座談会に通うようになり、いつしか運営側にも回っていた。

ポケットマルシェが始まるキックオフ飲み会に参加したときも、「この取組は間違いなくニーズが有る」とその先見性に心から感動した。

ファーストアルバムを売り始めたような心持ちである。

はたまた東北食べる学校という、東北3箇所の生産者の方のところへ漁業体験にいく取り組みに皆勤賞で参加したり、とすっかり魅了されていた。

そんな高橋さんのポケットマルシェが、かの「カンブリア宮殿」に取り上げられた時には、ついに武道館を満員にしてライブをしたかのような心持ちになり(この放映がもとでポケマルのサーバーが落ちたらしい)、

全国47都道府県で車座会を始めて、それをやりきった姿なんて、さながら全国ツアーをやり通した姿と同義ではないか。

フィナーレの東京の会に参加した時は、「よくぞここまで…」と心から嬉しく思った反面、「すげえところに行っちまったなぁ…」という、ほんの少しの感傷があったのも確かである。

第687回車座座談会

と、そんなこんなで遠くに行っちまったなぁ…と思っていた高橋さんが、また車座座談会を再開するという。

これは行くしかないだろうと思い、昨日参加した次第だ。

本当は先週も開催していて参加する気満々だったのだが、朝開催だったもので不覚を取った。

元気にしていらっしゃるかなぁ、と、久しぶりに言葉をかわした時に思った。

「ああ。やっぱり変わってねえんだなぁ」

先週すっぽかしてしまったことをいじられつつも、再開の握手をしてくださり、参加した皆さんの一人ひとりを誰一人おろそかにせずきちんと挨拶をして出迎えていたり、大切なことを何一つ忘れていなかった。

この度新しい本を発刊されたのが、再開のきっかけでもあったそうで、共著の新井和宏さんという強力な相方ともに、第687回車座座談会は開催された。

豊かな時間であったのも、今までの車座座談会と全く変わっていなかった。

・若い頃に出会った屋久島を守った議員の方と再会し、ルーツを思い出した
・今は消費者が生産者を選ぶが、生産者が消費者を選ぶ時代でもある
・知らないのに好き嫌いを思ってしまうことは排除である
・人間は競争が好きだが、競争に破れたものをほったらかしにしてよいのか
・お金は仕組みでしかないのに、どうしてこうもお金の奴隷になる人が多いのか
・人間の公私なんて分けられない
・コミュニティとは軟骨である。人間同士だとギスギスするのを防ぐ潤滑油
・人間の失敗は許される。しかし、人として間違うことを許さない。人として間違うこととは嘘を付くこと、言行不一致が露見した時
・人間は効率を目的化してはいけないし、手段を目的化することは間違いだ
・大人は後輩に生き様を見せろ
・事業をするなら、諦めないことを決めるだけでいい
・ばか正直が報われない時代って変じゃない?
・正直者が得しないのはおかしい

美味しい朝ごはんとともに、心あたたまるひとときを迎えることができた。

感謝と生命

回も終わり、この度の本にサインを貰いに行った。

新井さんからは「感謝」の2文字。
高橋さんからは「生命」の2文字。

ふと今までの自分に思いを馳せる。

感謝」してるつもりになってなかったかなぁ…
生命」抜けてたなぁ…

改めて、自分に生命の息吹を吹き込まれた朝に心から感謝したい。

参加される皆さんの好きを表現し、解き放つ、「プレゼンサークル」を主宰しています! https://note.com/hakkeyoi1600/circle ご興味のある方はお気軽にどうぞ!