【第2回配信】旧式ロータリーが残る世界遺産級の駅前広場〈紀伊勝浦駅〉
『八画文化会館vol.5 特集:駅前文化遺産』(紙版の予約はコチラ★http://indivision.cart.fc2.com/)の発売を記念しまして、今日は立ち読みも兼ねて、2回目も更新してみたいと思います。
全国には約9,000から10,000もの鉄道駅がありますが、再開発が進んでいるため、見て美しく、歩いて楽しい駅前は数を減らしています。まず「駅前文化遺産」に登録された、10の名駅前を紹介しましょう。
まず今回はナンバーワンに選ばれました、和歌山県にあるJR西日本〈紀伊勝浦駅〉、いきます!
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【目次】
1.キングの称号にふさわしい名駅前
2.駅前の壁に注目!
3.駅前商店街を散策する楽しみ
4.熊野古道に負けない、世界遺産級の駅前です
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1.キングの称号にふさわしい名駅前
▲「最も美しい駅前広場」と絶賛された駅前空間
紀伊勝浦駅は、駅前の魅力が凝縮したキングの称号にふさわしい駅である。駅構内には駅前広場を一望できる場所があり、眼下には心躍る光景が広がっている。まず注目したいのは、旧式タイプのロータリーが残る広場。
▲岩に刻まれた「秋刀魚の歌」は隣接する新宮市出身の佐藤春夫作
ロータリー内に駐車スペースはなく、中心に盆栽が設置されている。「秋刀魚の歌」が刻まれた岩を花壇が囲み、「勝浦温泉」の堂々とした書が添えられた盆栽の周りを、タクシーと観光バスがマグロのように回遊している。この規模の駅で、旧式タイプのロータリーが残っているのは奇跡的だ。
2.駅前の壁に注目!
次に祝祭的な駅前の壁を見ていきたい。
▲ 駅正面にある老舗の魚屋が経営する紀州物産スーパー
▲駅正面にある、バスのりばと駅前喫茶
特筆すべきはローカル感。名産や地元を宣伝する広告が健在で、なんとも陽気なバス乗り場には、那智勝浦町のシンボル3本足の八咫烏マスコットまで付いており、もはやナショナルチェーンの入り込む隙はない。
▲ 駅前壁の喫茶店「サカエ」では11時までモーニングあり
駅前喫茶で、のんびり過ごすのもよい。
そして極めつけは、駅前に聳え立つ2本のアーチ。
▲駅から港に向かって伸びる片側式アーケードの商店街
▲昼なお薄暗い全蓋式アーケードの「いざかた通り」
ここにも地元メーカーである那智黒総本舗の名物黒あめの名前が掲げられている。このアーチからはそれぞれに、駅前商店街が伸びている。
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